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SPIRIT評論(3)
「本当の強さとはなにか?」というテーマは普遍的で、言ってしまえば珍しくもなんともない。ストーリーは思いっきり予想通りなんだけど、そこに描かれる精神は気高く、それを拳に託して体現するジェット・リーのアクションは、なんだか感動的ですらあったりする。
物語はとても21世紀の作品とは思えないほどに旧態依然でくだらないきれいごとで満ち溢れている。ここには一切期待してはいけない。基本的にジェット・リーの格闘技だけを見せるための作品であり、この部分だけならば十分合格点を与えられる。中村獅童が出演しているが、彼の格闘技も人物像も思った以上に健闘していた。美術・衣装・撮影の出来栄えも良い出来映えだった。
それだけに物語の質の低さが惜しまれる。製作開始前に誰か一人くらい「こんな古臭い理想の道徳教育のような説教じみた脚本書き直しましょう」と勇気を持って提案してほしかった。そうしたら良作とよべるものになれただろうに。
ジェットリーが天狗になって散々な目に会って反省するのだが、その後達観してご立派な人物になって戻ったら、すっかり説教臭くて偉そうな余計に鼻につく感じになっていた。偉そうだったり説教臭くないどころか楽しい『酔拳』の師匠はやっぱりかっこよかったなーと思った。
ジェットリーが一体なぜ超人的に強いのかが全く示されておらず、厳しい特訓場面もなかった。元から才能豊かな人物が調子に乗って没落しても才能があるからちょっと反省するとますます強くなったという表現に見えて物足りなかった。
中村獅童かっこよかった。ラストバトルが毒で弱りきったジェットリーとの対戦だったため、全く燃えない展開だった。万全の状態で闘ってどっちが本当に強いのか示して欲しかった。