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ウォーロード 男たちの誓い評論(13)
ジェット・リー&アンディ・ラウ&金城武。
この三人が、義兄弟になる。
ふむふむ。。。
それだけで、期待度 大 の私。
戦国の世の中を生き抜くための、義兄弟の契りの証し「投名状」。
生きていくために、義兄弟となったけれど、最終目的は、それぞれ違ったのだ。
三人の、それまでの生い立ちなどを想像すると、考え、信念など、それぞれが違って当たり前なんだけど、
敵を前にした時に、どうすれば良いのか。
≪これだけが正解!≫なんてことはないのだ。
ただ、自分の信じることを行うだけだ。
パンは、戦いに勝利して出世し、多くの民のための為政をと願う。
アルフは、自分を慕ってくれる友のために、友情を大切にと願う。
ウーヤンは、冷静に周りを見る目を持ち、義(投名状)を守ろうとする。
配役は、バッチリでした。
三人それぞれが、正しいのだ。
間違いなんてない。
三人ともに、共感できる。
ラブ・ストーリーの得意な監督だから、戦闘シーンはどうかな?! と思っていたけれど、
ザーーーっと足を切ったり、手が飛んだり、馬に目隠しをしたり、見ごたえのあるシーンが続いた。
ジェットの力強い戦いのシーンも見せてくれた。
アンディの戦闘シーンを、もう少し多くして欲しかったな。
いつもは大人しい金城武も頑張っていた。
終盤、「あら?! 南京での戦いは、どうなったの??」と思うけれど、見終わってみると、これで良かった。
戦いのシーンばかりだと、食傷気味になってしまうものね。
「三国志」や「レッドクリフ」と比べると、こちらの方が、現場目線で作られている。
それにしても、権力を持って、指図だけして、兵士たちを「駒」としか思わない、自分だけが大切な三大臣。
ムカつくわ~。
ジェット・リーの涙。
アンディ・ラウの涙。
金城武の涙。
良かったな~。
なかなか、見ごたえのある作品でした。
中国史にまったく長けていない私には、この実話が、
どの程度歴史と絡んだのかも分からない始末だが^^;
とりあえず、主役の3人観たさに出かけてしまった。
冒頭、文字でなんとなくの説明が入るが、その背景が
本作ではかなり分かり辛い、といえば確かにそうかもx
でも話の本筋は、それほど難しくもないような気がした。
簡単にいえば、男3人と女1人のドロドロな話に(汗)
歴史を絡めたアクション大河ドラマ。という感じだった。
面白いのがJ・リー扮する清の将軍パン以外は盗賊で、
その二人と義兄弟の契りを交わし、互いに協力し合って
戦場で闘っていこう…という話になるのだが、いかんせん
盗賊→軍人。という慣れない立場で元・盗賊のリーダー、
A・ラウ扮するアルフは参ってしまう…。
闘いに勝っても分け前が貰えないという掟に添えない彼は、
パンに背いて怒りをかってしまう。
さらにアルフの妻・リィエンとパンの関係も序々に
明るみに出て、金城扮するウーヤンの悩みを増幅させる。
互いに貧しい出身…とはいえ、価値観があまりに違うのだ。
まぁこのあたりで、その後の展開は読めてくるが…^^;
冒頭~中盤の展開があまり面白くないので(すいません)
仲がこじれてくる後半~の盛り上がりには驚いてしまった。
それぞれの男に共感できるかどうかは立場にもよるが、
武骨で正直な(なのに盗賊)アルフが気の毒で仕方がない。
考え方としてはウーヤン寄りで^^;あの邪魔な女め!かな。
結局は誰もが誰かに利用されて…悲しい結末となる。
戦争とはこういうものなのだろうが、さすがに義兄弟と
銘打っているだけあって、ヤクザの抗争劇にも似ている。
(教訓:知らない人とは簡単に契り・杯などを交わさない。)
ジェット・リー、アンディ・ラウ、金城武ファンは必見。★5点満点以上の大満足。
三兄弟のたぎる思いがぶつかり合う、凄まじいほど男らしい映画だった。
姜午陽;ウーヤン(金城武)の哀しいほどの一途さと突如見せる凶暴さ、その落差は衝撃的。
金城武の魅力的な低い声でナレーションが入り、心が揺さぶられた。
趙二虎;アルフ(アンディ・ラウ)は、生まれながらのリーダー。情が厚く仲間思いで人望が高い。
アンディ・ラウは本当に凄い役者だと再認識した。
?青雲;パン(ジェット・リー)は、教養があり理想も高い大将の器。理想の為なら冷徹な決断も辞さない。
ジェット・リーは、カンフーを封印しての熱演。声が思いのほかかん高い?
ピーター・チャンが描く戦争シーンは凄かった。ある意味あの八卦の陣にも匹敵するビジュアルで驚いた。振付師が勧めるワイヤー・アクションを蹴って、リアルな表現に徹したとか。それだから映画全体がどっしりと落ち着き、最後までストーリーに集中させられるのだろう。あの映像は、大スクリーンで見るべし!
本題に入る前に、主人公の将軍パンが戦って全滅させられた相手の太平天国の乱とはいかなるものだったか、おさらいしておきます。
太平天国の乱は、中国清代に起きた大規模な反乱です。
洪秀全を天王とし、キリスト教の信仰を紐帯とした組織太平天国によって起こされました。官僚登用試験に失敗し、約40日間病床に臥せっていたが、その間見た不思議な夢が、彼を信仰へと導いたのです。その夢とは上帝ヤハウェと思われる気品漂う老人から破邪の剣を与えられ、またイエスらしい中年の男から妖を斬る手助けを受けたというものでした。洪秀全はキリスト教の教えの中でも特に上帝が唯一神であることを強く意識し、偶像破壊を熱心に行いました。元々多神教的な土地柄である中国では儒教・道教・仏教にまつわる廟が多かったが、それらを破壊し、ただ上帝だけをあがめることを求めた。
日本で言えば、一向宗が一揆により加賀一国を占領してしまったように、同じような信仰上のバックヤードを持つ、太平天国の信徒達によって組織された軍隊は、勇猛果敢で無敵の勢いがあったのです。
それに比べて、清軍は先立つアヘン戦争で消耗し、またアロー号戦争をも同時進行で戦わなければならなず、広大な国土に分散配置した結果、正面からぶつかる事もままならない事態となっていたのです。
★★★★☆
●さてここからが本題のレビュー
そんな状況の中で、太平天国軍に臨んだ鶴川の闘いで、将軍パンの湖軍1600名が味方の魁軍から見殺しにされて全滅してしまったのは、仕方なかったことでしょう。
失意のパンが出会うのが、運命の女リィエン。子供のようにリィエンに縋り付き、部下が一人一人惨殺されて、自分だけが生き残った身の上を語り出します。惨めに泣き叫ぶパンを演じているのは、ジェット・リー。こんな演技を誰が、予想できるかというくらい哀れでした。
そして、そんなパンに母性本能をくすぐられたのか、リィエンは一夜を共にします。この逢瀬が、後の悲劇に繋がるとは、思いも寄りませんでした。
後に合流することになる盗賊団の村の頭目アルフの妻が、リィエンだったのです。官軍の将軍であることがバレたパンは、村から出ろとアルフから通告されます。その時清軍が村を急襲して、盗品を蓄えた食料を根こそぎ奪っていくのです。
パンの提案で、アルフたち盗賊団は、清軍の正規軍となること決意し、その日から太平天国軍との闘いに明け暮れることとなったのです。
但しアルフが清軍に合流する条件に投名状による義兄弟の契りを、パンに約束させるのです。それは裏切ったら死を伴う、命がけの約束でした。
パンを中心に、鉄壁の結束力で軍功を重ねていった元盗賊団。彼らが村を出たときは100人程度の軍勢でした。初陣での舒城攻略の褒美として、 4000名程度に増強され、山軍と呼ばれる天下に名を馳せる軍隊に育っていました。しかし、彼らの増長を心良しとしない朝廷は、山軍からの太平天国本拠地南京攻略の建議を認めようとしません。しびれを切らしたパンは、勝手に蘇州へ侵攻します。
蘇州城を1年も包囲したものの、山軍は朝廷から食料の補給を閉ざされて、飢え死の絶対絶命のピンチに。
パンは、絶対に頭を下げたくなかった魁軍のクイ将軍を訪ねます。そして南京攻略時の戦利品折半を条件に、10日分の食料を得ます。
一方アルフは単身、蘇州城に忍び込み、城主ホアンから部下の命の保証と引き替えに、降伏の確約を取り付けます。
しかし、食料は限られている中で、今の兵数と同数の捕虜を食わせるだけの余裕が山軍には、ありませんでした。そして南京攻略を急がないと、魁軍が先に南京に着いてしまいます。
軍隊による民への略奪をやめさせるために戦ってきたパンにとって、略奪を常とするライバル魁軍の部隊に先攻させるわけには行かなかったのです。
兵糧確保のため、パンは蘇州城兵4000名の虐殺を断腸の思いで決断します。しかし、信義を重んじるアルフは、断固反対して譲りません。やむを得ずパンは、アルフを幽閉して虐殺を断行します。
リーダーとして非情な決断を迫られたパンの苦悩が色濃く滲んだシーンでした。それはまた、演じるジェット・リーがジェット・リーであることを忘れて、新たな性格俳優として新生した瞬間でもあったのです。
また、心の襞を描くことを得意としているピーター・チャン監督の真骨頂を表したといって過言ではないでしょう。
これが元になり、パンとアルフの間に、溝が深まります。それに加えて、南京攻略後、野心を募らせるパンは、リィエンへの占有欲も募らせていきます。
投名状に一番純粋であったウーヤンは、二人の義兄弟の対立に苦悩するものの、最後には、その原点に立ち返ります。裏切りは死の制裁あるのみであると。
3人の義兄弟の固い団結が美談で描かれるだけに、その宿命の結末には、胸が痛みました。ウーヤンを演じる金城武は、これまで優しい役が印象的でした。しかし男臭い本作の中で、アンディ・ラウには及ばないものの、義に生きる男気ぷりに、突き抜けた演技を見せていたと思います。
レッドクリフと比べて、無骨でワイルドな作品。戦記物やゴツゴツとぶつかり合う男同士のガチンコ演技がお好きな方は必見でしょう。難を言えばラストで時間切れか、急に進行が早くなり、ストーリーが分かりづらくなってしまいます。但し歴史物としては、破綻せずよくまとまっていると思います。