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バッドアス!評論(1)
映画製作のドキュメンタリー風なドラマは何本か観たことあるけど、これだけ熱くなれるモノはなかったかもしれない。実際に公開された『スウィート・スウィートバック』はもちろん未見ですが、ストーリーなどの内容なんてどうだっていい!作る意欲と作る過程、黒人のための映画だということが重要だったのです。
ベトナム戦争のころ。映画製作の会社、俳優組合、映画関係の団体はすべて白人社会。黒人の扱われ方はひどく、『夜の大捜査線』など人種差別への批判映画も数多く作られてきていたハリウッドであっても、黒人主体の映画は皆無だった時代。そんな中でメジャーに頼らず、インディペンデント系で黒人映画を作ろうとメルヴィン・ヴァン・ピープルズが立ち上がった。資金面、俳優起用面と様々な壁にぶちあたりながらも、奇抜なゲリラ戦術で切りぬけてゆくのです。
笑ってしまうほどの作戦。白人が不快感を感じるような内容なので、まずはクレームをつけられないように“黒人ポルノと思わせる”内容にしてしまったこと。資金不足を補うため、パトカーを爆破するシーンで実際に消防車を呼んでしまうが、ちゃっかり実物を撮影してしまうという妙案。転んでもただでは起きない監督の手腕がお見事でした。出来あがっても配給会社が決まらないという難関を残してしまいますが、成人向けにしてしまったツケがまわって来たのでしょう。
ドキュメンタリー風なインタビュー風景も採りいれてるのですが、登場するのはこの映画の出演者。最後に70年当時関係者も登場するという凝り方。アース・ウィンド&ファイアの登場には拍手してしまいそうにもなりました。しかし、18禁映画なのに息子までも出演させて、かなり可哀想だと思いましたが、その息子がこの映画を作ったのですから、いい思い出となっていたのでしょうね。