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沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇評論(1)
この映画、一体、誰得なんだろう?
そう思うほどメチャクチャな話です。
金持ちで綺麗な奥さんカトリーヌとその家族
VS
金持ちに雇われた家政婦ソフィーと貧しく不細工な友人ジャンヌ
という持つ者と持たざる者の対比が凄まじい。
別に金持ち側が意地悪したりする訳じゃない。普通に接しているだけ。寧ろ親切。
それなのに恵まれない側は、
それって偽善じゃーと逆ギレ大暴れで金持ち一家を惨殺。
なんつうか普通は納得できない話ですよ。納得しちゃダメな話です。
でも、そういう「正当化できない怒り」が世の中に全く無いといったら嘘になる。
クロード・シャブロル監督は嘘なく描きたかったということか。
この話もう一つオマケがあって。
持たざる側の女二人しっかり固い絆で結ばれてると思いきや…。
ジャンヌがディスレクシアのソフィーに優しくするのは、自分より劣っているから。見下せる相手が欲しかったから。
で、ソフィーもそれに気づいて憎んでる。
なんつう終わりのない蟻地獄。切ないや哀しいとかを遥かに通り越している。
演じるのがフランスの至宝イザベル・ユペールなもんだから、上手過ぎてリアリティがヒシヒシと伝わってくる。(こんな行き場のない話、リアリティあり過ぎても観客としてはつらいんだ…。)
おためごかしの全くないこの映画。キライな人もいるだろう。
でも、このギリギリの世界観だからこそ救われる人もいると思う。
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半世紀前に「新しき波」ヌーヴェルヴァーグと呼ばれたシャブロル監督、老年の作品。
シャブロル監督は死ぬまで怒濤の波であり続けた。