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昭和残侠伝 血染の唐獅子評論(1)
お決まりの面々ではあるものの、今回は少しライトな印象。
渡世の話じゃなくなったからなんだろうか?
今作、花田秀次郎は火消しの頭領でカタギの区分なのかな?徴兵から帰ってくるし、恋人もいる。温和な健さんもオツなものだ。
恋人・富司純子とラブラブな会話もあったりする。お茶目な一面と言おうか…朴訥なだけじゃないデレてるシーンは可愛かったりもする。
勿論、男気満載のシーンはそのままで、役柄なのかご本人なのか区別がつかないようなカリスマ性に魅入る。
まぁ、ラブラブな部分は時世もあるんだろうが、よくまぁあんな台詞を臆面もなく言えるなと観てるこっちが照れてしまう。
前作までは渡世の中だけの話であったのだけど、今回はヤクザ対火消しで…反社会勢力を前に一歩も譲らず啖呵を切る健さんは凄まじいまでの色気だ。
凄む事もなく、構える風でもなく…至って平然としていて肝が座ってるってああいう姿を言うのだなぁと、憧れにも似た眼差しをしてしいる自分に気づく。
いやいや、演技だから。
…でもやっぱりその境界線が分からない。
今更ながら、高倉健の凄さに気づく。
シリーズの定番通り、最後は殴り込みで池部さんがその脇をかためる。
今回の道中は、幼なじみという設定もあるのか、散歩に出かけるような雰囲気があった。たわいもない四方山話を楽しんでるような。
そこからのラス殺陣。
敵の只中で背中を預けあう2人。
…たまらん。
今作はマキノさんの意向なのか、そおいうギャップが随所にあったように思う。
脚本は淀みなく一本道なのだけれど、高低差があるというか、縦揺れの波があるというか。
それが故、ギュッと絞まる部分が強調されたような印象だった。
台詞はとんでもない内容なのだが、富司純子さんは今作も美しかった。
池部さんも「お兄さん」をやりやすそうで…愛されキャラだったんだろうなぁと想像する。
血染めの唐獅子なんて物騒なサブタイトルだけど、案外当時としてはトレンディに舵をきった試験的作品だったのかもしれない。