「第三の男」「堕ちた偶像」並びに「最後の突撃」のキャロル・リードが製作・監督した一九四七年度作品。脚本はF・L・グリーンの小説から、原作者自身と「四重奏」「純愛の誓い」のR・C・シェリフが共同で執筆した。「ヘンリー五世(1945)」「逢びき」のロバート・クラスカーが撮影、「最後の突撃」のウィリアム・オルウィンが作曲、「ヘンリー五世(1945)」ロジャー・ファースが美術を夫々担当し、主演は「霧の夜の戦慄(1947)」のジェームズ・メイソンと新人キャスリーン・ライアン(映画第一回)で、「幸福なる種族」のロバート・ニュートン、「船団最後の日」のロバート・ビーティ、F・J・マッコーミック、「誘惑の港」のウィリアム・ハートネル、「青い珊瑚礁」のシリル・キューサック、「夜霧の都」のフェイ・コンプトン、W・G・フェイ、デニス・オデァ、ダン・オハーリー等が共演する。
邪魔者は殺せ評論(2)
信頼できる仲間デニス(ロバート・ビーティ)は真剣にジョニーを探す。見つけたとき、デニスは左手を撃たれたジョニーのふりをするため包帯を巻いて、囮となって警察を混乱させる作戦に出た。しばらくして、デニスはあっけなく捕まる・・・なかなかのキャラだったのに。
その後はフラフラになりながら彷徨うジョニー。車にはねられそうになり、婦人たちに助けられたり、辻馬車に偶然乗り込んだり、パブに入って閉じ込められたり・・・そして、トム神父や鳥好きのシェル(F.J.マコーミック)や売れない画家ルーキー(ニュートン)といった個性的なキャラが増えてくる。
もう死にそうなほどのジョニー。心配するキャスリーン(ライアン)は彼を見つけたら、心中する覚悟。懸賞金をもらいたいシェル。生と死をさまよう人間の目を描きたいルーキーと、それぞれの思いが交錯する。やがて、ジョニーを見つけたキャスリーンは心中するつもりで銃を手に持つが、警官隊に射殺される・・・
カットバックやモンタージュといった編集技法が発揮され、朦朧とするジョニーの視点も見事に描いていた。そうしたテクニック以外でも、ジョニーに対する市井の人々の対処の仕方がみんな違うところも面白い。