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MINAMATA ミナマタ評論(20)
かつて名をなしたカメラマンの最晩年の異郷での出会いとそこに巻き込まれて撮りえた作品群。カメラがまさにフィルムレンズを通してのパーソナルにな風景にみえてよい。そしてオールスターの日本キャストも悪くない。
終わった、と思えたカメラマンのこの上ない一枚のシャッターを切るタイミングで息を呑む瞬間を共有できたのはよかった。
そしてチッソ側のやり口がびっくりするくらい今の日本企業や政府のやり口に似ているのでやけに共感を覚え、次第に許せぬ!という気持ちになり、最後の「日本政府は〜」のテロップで本当に拍手したくなった。そのくらい息苦しい日本の現状。ジョニーデップがプロデューサークレジット。やはり拍手ですよ。
「被害にあってるのは大した数ではない」ってまんま自民党発言だもんね。突っ返してくれてありがとう。
社会批判映画にありがちな「まだまだ戦いは終わらない」みたいなテロップのラストではなく、新しい一歩を踏み出した今の水俣を示すシーンがあってもいいはずだが、その辺りは我々が日本人だから特に強く感じるのかも知れない。
映画作品としてのデキは、もうひと息欲しかったかな。
俳優達も演技者としてすごく上手なのは分かるが、どの登場人物も印象的だけど、物語の中ではなんとなくボンヤリしている感じ。
ただ、ハリウッドが、比較的しっかりと日本人や日本の生活を描こうとしている感じは強く伝わってくる。
どうしてもジョニー・デップが庵野監督に見えてしまい、「また何か変なことをするのでは…」と思いながら観てしまったのは純粋にノイズだった。あくまで個人的な印象だけど。
【愚痴】
作品に直接関係ないけど、あの映画評論家は作品を紹介する中で、なんで物語の大事な部分をあんなに明かすんだろうか。(とある番組)
あの写真の具体的な話とか社長の話とか、これから観る人にはホントに不要な(というか、作品を堪能する意味で入れるべきではない)先入観だった。
マジでいい加減にしてほしい。
美波、真田広之、加瀬亮、國村隼がそれぞれ魅力的。
國村さん、加瀬さんの英語が上手いのに驚いた(すみません)。
撮影場所が日本でなかったことが残念。
水俣病を取り扱った実在の写真家を題材とした映画。公害を否定する企業からの度を越した妨害工作のヤバさを描写しつつも、企業の社員の板挟みの状況も匂わせており公平な作品と感じました。