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ブロンクス物語 愛につつまれた街評論(4)
映画は脚本兼ソニー役のチャズ・パルミンテリの回想なのだろう、彼の父もバスの運転手だったと言うから主人公のカロジェロは彼自身のことと思われる。おなじイタリア系のデニーロはマンハッタン生まれだがブロンクスのリトルイタリーには友達がいたようだ、子供時代のことには特別の思い入れがあったのだろう、初監督、製作、出演、バスの大型免許まで取得と入れ込んでいる。ただチャズ・パルミンテリの配役縛りの条件が無ければゴッドファーザーⅡで名を成したデニーロとしてはソニー役の方をやりたかったのではないだろうか。
昔のブロンクスといえば街にはアル中、ヤク中がたむろし放火、殺人は日常茶飯事、荒廃の無法地帯と言われていたが黒人のいたサウスブロンクスに比べればイタリア系が多く住んでいた北部は少しは治安が良かったのだろうか、たぶん思い入れもあって映画化では手加減しているのだろう。
若いカロジェロが悪の道に染まっても仕方のない環境だったが実直勤勉な父の生き様やマフィアのソニーですらカロジェロを親身に可愛がり悪い仲間から救ってくれることで道を外さずに済んだということなのだろう。実話とすれば陰の父と慕うソニーへのチャズ・パルミンテリのレクイエムとも思える映画でした。
ただ、デニーロに似ている青年としてスカウトされたカロジェロ役のリロ・ブランカートは2005年に強盗未遂事件で服役と道を外してしまったのは残念だ。初恋のひとが黒人の美少女というのはデニーロの私生活をひっかけているのだろうか。邦題がおかしいのはいつものことだが副題の”愛につつまれた街”は美化しすぎだしロマンスを連想させるミスリード狙いなのか、陳腐でしょう。
つまり劇中の少年時代の流行歌
ソウルやロックは60年代後半の青年期の流行歌
それらが効果的に使われていて、当時の雰囲気を伝えて来ます
NYでも特に柄の悪いブロンクスの物語
デ・ニーロの自伝的映画ではあるが、そのまま自伝ワンスアポンアタイムインアメリカ的な味わいで余韻が強く残ります
3つのテーマが重層的に進行して、とても濃い内容で見応えがありました
親子の絆
デ・ニーロは父親役で出演して、立派な親とはこうだというのを見せてくれます
人生の先生
地元ギャングの親分に子供時から可愛がれて弟分になり父とは違う人生を学ぶ
人種の対立と融和
この時代、全米各地で黒人暴動が起こり首都ワシントンでは黒人民権運動の大行進があったことを頭に入れてみるとまた味わいも変わります
映画監督は初作品で、テクニックとか小細工とは大したことは無し
素人でもこうした方が良いのにもったいないと思う部分も正直あります
かといって見辛い訳では全くなく、楽しく集中して観れる作品にまとまっています
大好きなデ・ニーロが監督した作品だけに観ないわけにはいかない。
真面目な父親役のデ・ニーロも良かったが、ソニー役のチャズ・パルミンテリもめちゃ良かった。
元々はチャズが自分で書いて舞台で演じてた自叙伝的な話だけに素晴らしい存在感だった。
デ・ニーロもブロンクス生まれだから共鳴したんじゃろね!!
なかなかの名作だと思う。
それにしてもマフィアの名前はどの作品観てもソニーやトニーばっかりやね。