「男はつらいよ」シリーズの山田洋次監督が、東京・下町の夜間中学校を舞台に描いた人間ドラマ。ベテラン教師・黒井が勤める下町の夜間中学校には、昼間は清掃会社で働くカズ、元不登校児のえり子、焼肉店を営む在日韓国人のオモニら、年齢も境遇も様々な生徒たちが通っている。卒業が近づいたある日、卒業記念文集のための作文を書く生徒たちの横顔を見ながら、黒井は彼らとの思い出を振り返る。やがて彼らのもとに、病気のため田舎に帰っていたクラスメイト、イノさんが亡くなったという知らせが届く。主人公の教師・黒井を西田敏行が演じ、田中邦衛、萩原聖人、裕木奈江らが個性豊かな生徒たちをそれぞれ好演。
学校(1993)評論(16)
コロナ禍で揉みくちゃにされた一年も暮れようとしています
12月なのに大寒波が襲来して北国の方では大雪災害のニュースです
本作のラストシーンのように雪が都会にも降って来そうに冷え込んでいます
コロナ禍で幸せを破壊された人も多くでています
様々な矛盾がこのコロナ禍によって加速され、顕在化して、一気に世の中の見える所になって吹き出して来たというべきかも知れません
本作の登場人物達のような人々が決して特殊なことはないのです
今日、幸福に生きている人だっていつ不幸せに突き落とされるかも知れないのです
明日は今日の続きであるとは保証されない時代になってしまいました
突然仕事が無くなってしまった人
営々と築き上げたことが崩れ去ってしまった人
就職先がない学生、内定を取り消された学生
大事な人が入院した人…
自分がそうでなくとも明日は我が身かも知れないのです
その不運を、コロナ禍が加速させた世の中の矛盾を恨むべきなのでしょうか?
コロナは人を差別しません
公平に、平等に感染するのみです
その中で私達はどう幸せを追求したらいいのでしょうか?
嘆く?、喚く?、恨む?、諦める?、好き勝手にやる?
誰も答えを持ち合わせてはいません
つまり私達は誰もが、このコロナ禍の中では本作の夜間中学に通う人々と同じに立場にあるのです
それぞれに、このコロナ禍の中で幸福とは何か?
どうすれば幸せなのか?
それを一人一人が学ばなければならないのです
「学びたいという気持ちがあるなら大丈夫」
そうクロちゃんは言いました
そして「授業っていうのは、クラス全員で汗をかいて、みんなで一生懸命になって作るものなんだ」とも
コロナ禍を、私達はそんな良い授業にするしかありません
その先にコロナ禍を超えて、21世紀の人間の在り方、生き方、精神の形、社会の姿
そんなものが見えてくるのかもしれません
良い授業でした
ありがとうございました