「火垂るの墓」の高畑勲監督が、岡本螢・刀根夕子原作の同名コミックを映画化した長編アニメーション。1982年、夏。10日間の休暇を取った27歳の会社員タエ子は、姉の夫の親戚が暮らす山形へ旅に出る。東京で生まれ育った彼女には、小学5年生の時、田舎がなくて寂しい思いをした記憶があった。旅の途中、彼女は当時の懐かしい思い出を次々と蘇らせていく。小学5年生の自分を連れたまま山形に到着した彼女は、親戚の家の息子トシオや農家の人々と触れ合う中で、本当の自分を見いだしていく。主人公・タエ子の声を今井美樹、トシオの声を柳葉敏郎がそれぞれ演じた。
おもひでぽろぽろ評論(20)
都会で働くタエ子が、休暇で田舎の親戚の家の農作業を手伝いに行く。その過程に小学5年生の自分を断片的思い出し、今の自分につなげていくお話。
私が一番感動したのは、子供の頃のやるせなさをうまく描けているところ。子供の頃の、けして明るくなく、何事にも一喜一憂していた、もやもやした不安定な気持ち。きっと誰もが持ち合わせている、子供だからこその感情がうまく描けていた。
大人になったタエ子は、もはや昔過ぎて定かではない記憶を、次々と思い出しては笑い飛ばしていく。
しかし、物語の最後に思い出した記憶だけはタエ子の心に深く入りこみ、そして彼女のその後の人生を肯定していくヒントになる。
親戚の人が言う、「手つかずの自然に思える田舎の風景も、人間が作ったものなんだ。」というセリフが印象に残りました。
おすすめです。
それで、全体としては、ちょっと科白が多すぎな気がしましたね。人々の心の移り変わりを、独白的な言葉で埋めているところが目立ってしまって、そこをやっぱり映像で分からせてほしかったなぁというところがありましたね。
でも、小学5年の頃のタエコちゃんは可愛かったね。ああいうピン止めしてる子いたなぁって。なんか、そういうことを思い出せただけで、幸せではありました。
世代的には全く違うんですが、小学生の頃を思い出して今の自分と照らし合わせる感触が、自分が感じているものと全くといっていいほど同じで。
というか初めて観たときは小学生だったんですが、人としての幼さとか成長を、性別に関係なく見せられた感じがして、衝撃を受けました。
いつも可愛がってくれる父親にビンタされるシーンは泣けてしまいます。
自分の場合はおじいちゃんに可愛がってもらってたんですが、たまに怒られるとメチャクチャ悲しくて。
過去の自分と未来の自分をつなげる話の作品はよくあるんですが、これほど完成度の高い作品は観たことがありません。過去の回想が現在の人間関係の形成に影響を与え、逆に過去の出来事を思い出すという流れが非常によく出来ています。