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ザ・クラッカー 真夜中のアウトロー評論(5)
名匠マイケル・マンの映画監督デビュー作。1981年の作品。
マイケル・マンと言うと、スタイリッシュ、クール、男のドラマ、夜の街などを連想する。(あくまで個人的見解)
デビュー作ながらそのスタイルは既に確立されている。
ムード漂う夜の街は「コラテラル」や映画版「マイアミ・バイス」、渋い男のドラマは「ヒート」や「インサイダー」を思わせる。スタイリッシュな映像はTV版「マイアミ・バイス」の原型。
クールな作風は同じクライム・ムービー「ドライヴ」への影響も感じられる。
結婚し養子も迎え入れ、新たな人生をスタートさせたかに見えたが…生きてきた性(さが)がそれを許さない。
やられたらやり返す。今人気のドラマの台詞を借りるなら、「倍返しだ!」。
ここに、ベタな言い方だが、男の美学が炸裂する。
相手が犯罪組織のボスだろうと物怖じせず、言いたい事も言い、主張も曲げない。
こんな男になってみたいわ…と思わせるこの役に、男臭い風貌のジェームズ・カーンはぴったり。
「マイアミ・バイス」「ヒート」「コラテラル」が好きなら見逃せない。
子供が欲しいと言ったらヤクザの親分が簡単にくれるのが少し羨ましかった。
ジェームズ・カーンがオトコです。
言わずとしれた巨匠マイケル・マンの長編映画デビュー作。一匹狼のアウトロー、裏稼業、仁義、バイオレンス、現代音楽、徹底したリアリズム……そこにはすでにマイケル・マンが描く世界のすべてがある。ジェームズ・カーン扮する中年の宝石強盗フランクは、結婚して足を洗うために街を牛耳るマフィアの危険な仕事を買って出るが、マフィアの裏切りに遭い、相棒を殺されてしまう。そこでフランクは女房と別れて、自分の家に火を放ち、マフィアの家に殴り込みに行くというストーリー。「処女作にはその作家のすべてが詰まっている」というが、マイケル・マンにもこの言葉がそのまま当てはまる。マンの代表作「ヒート」「インサイダー」も、本作の変奏版にすぎないのだ。
デビュー作からすでに、映像や音楽に対するこだわりがハンパじゃない。
金庫破りのシーンには元本職を4人雇い、主人公の射撃シーンには、プロのコンバット・シューティングの指導を受けたジェームズ・カーンが完璧にものにしています。
ウィーバー・スタンスと呼ばれる、両手で銃を下に持ち半身で構えるスタイルは、その後TV「マイアミ・バイス」や、他の映画でもたまに見かけたが、 現在はアソセレス・スタンスと呼ばれる、胸の前あたりで正面に構えるスタイルが主流みたいですね。
ストーリーは、昼はバーと中古車販売の経営、夜は金庫破りという2つの顔を持つフランクが、大仕事を最後に決めるが、凄腕の金庫破りを組織が簡単に手放すはずがなく...
本作で1番好きなのは、家・仕事・妻子と文字通り全てを捨ててから殴り込みをかけるところなんだけど、フランクの短気で自己中なキャラをよく表現していて好きなシーンが、初デートに2時間遅れて相手が怒ったら、逆ギレして「ガタガタ言わずに俺と恋を始めよう」ていうところ。
今まで色んな映画の口説き文句を実践してきて、このセリフもめちゃくちゃ好きなんだけど、これだけは絶対言えないですわ(笑)