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シグナチャー 日本を世界の銘醸地に評論(1)
その勝沼の日本ワイン銘醸地への挑戦は、グレイス、ルバイヤートほか数多くの勝沼ワイナリーの蔵元による切磋琢磨によるもので、あの苦難の戦争をくぐり抜け産地ぐるみとして甲州ぶどう、マスカット・ベーリーAをOIVの世界登録まで取り付けて、日本ワインを世界に認めさせました。そしてその結果として、今や勝沼の日本ワインが世界に通用する銘醸地として認められ、世界のワイン品評会で高い評価を得るに至りました。今や勝沼のワイナリー蔵元から甲州ワインが欧州に向けて出荷されるという、奇跡が生まれているのです。その群像劇を描いてこそ、映画としての醍醐味があったのではないか。
ところが、この映画の予告編では、実在の企業の、実在の社員に光があてられ、一人で、長野県塩尻で初めての日本ワイン造りに挑戦し、あたかも平成になって初めて日本ワインの銘醸地が誕生したようなノンフィクション映画として描かれています。
映画も創作ですし、言論表現の自由もありでしょうが、150年に及ぶ日本ワイン産地の歴史、そして、産地で世界に通用する銘醸地となるように切磋琢磨してきた、それこそ数多くの醸造家の努力は、厳然として存在するわけです。
予告編を見た限りでは、ノンフィクション映画なのに、監督の思い込みや勘違いで出来上がっているように見えます。映画公開で勝沼などワイン産地の反響がきになるところです。予告編への感想が杞憂に終わってくれることを望む次第です。改めてレポートがありましょう。