事故で記憶を失い、幻覚で未来を見るようになった主人公が巻き込まれる、予測不能で不可解な事件を描いた韓国製サスペンス。ある事故で記憶喪失になってしまったスジンは、夫であるジフンの献身的なサポートで日常生活を取り戻しはじめるが、ある時から幻覚で未来が見えるようになり、周囲で不可解な出来事が起こるようになる。目の前で起きていることは現実なのか、未来なのか、あるいは単なる妄想なのか。境目がわからず、次第に混乱していくスジン。そしてある日、殺人現場を目撃した彼女は、それも幻覚と思われたが、実際に死体が発見され……。「サイコだけど大丈夫」のソ・イェジが主人公スジンを演じ、夫のジフンは「背徳の王宮」「蜜の味
テイスト オブ マネー」などさまざまな作品で活躍する実力派のキム・ガンウが演じた。これが長編デビュー作となる女性監督ソ・ユミンがメガホンをとった。
君だけが知らない評論(4)
サスペンスの部類に入ることだけ頭に入れて鑑賞。じゃあ不安を感じさせるような描写だけかと言うと、それも全然異なる。上手く作品の中でジャンルを横断しながら、タイトルの意味を変えていく。ヒンヤリとする怖さもあれば、温かさを覚えるような所も。ただ、何も下調べなどをしないで観てもらうのが1番面白いと思うので、あまり書きたくないのが本音。笑
韓国映画の強みとも取れる、重厚で先行きの読めないプロット。観ながらグルグルと結末を読もうとする頭をさらに混乱させ、分かりやすくも深い所で締めていく。その鍵を握るのは、彼女が見る景色。幻覚か真実か…。重ねていく内に均衡が取れなくなり、その深さに引き込まれていく。クライマックスに観てきたモノが一気にひっくり返してなぞるように、驚きが襲ってくる。
大作とも言えないレベルなので見逃してしまいそうになるが、そうした作品でも仕上がりの凄さを改めて感じる。そう考えると、エンタメを押し上げ続けた韓国文化はやはり桁違いなのだ。油断大敵、一寸先にある景色を疑い、晴れた所にあるものを刮目せよ。
先ほど見たシーンは本当にスジンの記憶なのか、それとも夫ジフンの作り話なのか、見えてしまった幻覚は未来に起きることなのか。観客はそれらの映像のパズルを組み合わせていくうちに、改めて映画が“記憶の装置”であることに気づくだろう。
集中しすぎてあっという間に終わってしまった。めっちゃ面白かった!!
叙情的なタッチと、ホラー的な要素。
物語は半ばまで淡々と進むが、ラスト30分で印象がガラッと変わる。
静と動、ここまで振れ幅が大きい映画も珍しいのでは。
それにしても兄の愛情が切ない。
ハッピーエンドではないけれど、それが逆に
物語に深い余韻を与えてくれる。
ラストに繋がるヒントが色々なシーンに散りばめられているので、あれこれ推理しながら見るのも面白いと思います。