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オートクチュール評論(1)
引退を目前に控えた孤高のお針子エステルと、アルジェリア移民2世の少女ジャドの姉弟関係を描くが、率直な感想は、とにかく登場人物達の毒舌というか悪口の多さに閉口。
エステルは人種差別的にジャドを罵倒すれば、かたやジャドもババア呼ばわりするなどの罵詈雑言。さらには移民であるジャドへの『ガラスの仮面』チックな嫌がらせまで行われるに至っては、実際のディオールの衣装デザイナーもこんな歪んだ連中ばかりなのかと誤解してしまうほど。
ジャドの裁縫の才能が見いだされるきっかけも唐突だし、恋愛描写も無理やり入れた感が拭えず、何よりも彼女が成長していく過程に説得力がない。もちろん背景には、差別される故に人を信用できないという移民大国フランスの社会問題があるとはいえ、もうちょっと描き込んでほしかったもの。