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スティーブン・キング 血の儀式評論(1)
自宅にて鑑賞。DVD等のソフトや配信のみの劇場未公開作で原題"Mercy"。前半は田舎町ののどかな風景の中、過去の因縁が徐々に明かされ、じわじわと違和感が忍び寄るまずまずの出来。後半(特にクライマックス)に至り、急ぎ足にテンポが急変し、どんどん雑になる。人がバタバタ亡くなり、或る程度補完しなと判らない程に詰込み過ぎな上、無理矢理なラスト。肝となるのはH.ヘイズ演じる想像上の少女の正体なのだろうが、この設定が無ければ観る価値無し。“ハスター”の造形やデザインも魅力に欠け、諦めが良過ぎるのも疑問。50/100点。
・クライマックス近く、留守番をする“ジョージ”の元にバーベナの鉢植えが届けられる。事の顛末に繋がる大きな手掛かりであり、クライマックスで武器にもなるアイテムだが、誰が何故届けたのかが判らなかった。
・伏線の伝承として登場する黒い“魔の犬”──『ネバーエンディング・ストーリー('84)』に登場した虚無の使い“グモルク”や『レディ・イン・ザ・ウォーター('06)』の“スクラント”を想起した。或いは同じS.キング原作の『死霊の牙('85)』辺りの印象もあった。“ハスター”は穏やかなサスカッチの様な風貌で、黒い毛むくじゃらではあるものの禍々しさや不気味さは殆ど感じられなかった。
・原作はS.キングの『ミルクマン』収録の短篇『おばあちゃん』──短篇なので、オリジナルの要素をかなり盛っているが、『シャイニング('80)』以降、S.キング=斧と云う安直なイメージに乗っかている様に思えた。更にD.クダーモットの“ジム・スワン”が「号泣の書」を手に「家族を皆殺しにしようとしている」とのご丁寧な科白迄あった。
・登場する高齢施設“R.L.フラッグ・ホーム”のネーミングは、『ザ・スタンド』及び『ダークタワー』シリーズに登場する“黒衣の男”や“不老の異邦人”等、複数の異名の内の一つ“ランドル・フラッグ”を思わせる。その施設から引き取る際、手にするオムツには"Bachman"なるブランド名が読み取れる。R.バックマンはS.キングの別名である。
・ロケで使われたのは、TVドラマ『カーニバル』シリーズ('03・'05)でC.ブラウンが演じた“ジャスティン・クロウ”の家と同じ屋敷であると云う。
・鑑賞日:2017年11月4日(土)