シンプルな情熱

大学で文学を教えるシングルマザーのエレーヌは、ロシア大使館に勤めるアレクサンドルと出会った。エレーヌは彼の魅力に惹かれ恋に落ち、自宅やホテルでのセックスにのめり込んでいった。気まぐれで妻帯者のアレクサンドルからの電話をひたすら待ち続けるエレーヌはボーッとして我が子を車で轢きそうになったり、食事も作らず育児放棄したりし、頭の中はアレクサンドルだけになってしまった。さてどうなる、という話。
とにかくセックスシーンが多くてエロい。
熟女が若い男にハマったらこんな感じなんだろうな、という事が画面から伝わってくる。
実際に日本でもこういう女性はたくさんいると思った。
もちろん男性も。

映像が良さげと思ったら・・・

息子をバックで轢きそうになったり、運転中によそ見してるし、なにか良くないことでも起こるのかと思いきや・・・
「不倫は文化」を地で行っているのか？

シンプルな情熱というか、シンプルな情事（だけの映画）。

性愛に溺れるのは決して悪いことではないし、のめり込むほどに感じとれる愛もある。
結婚もして思春期の男の子もあって大学で教鞭を揮う中年女性。平穏に暮らそうと思えばそれはそれで十二分に幸せなのだが・・・しかし、残念ながらそううまく納めてくれないのが人生なのだ。
恋してしまったのだ。ファーストシーンからありふれたセックスシーンで始まって、終始男が主導権を握るままのこのシーンに男の身勝手さが鼻に付いてしまった。相手の感じる様子が自らの快感に投影できていないような気がしたからだ。早い話が思いやりが足りないのだ。しかし、女の感性は分からないものだ。女の方はそんなスタイルが感性に合っているようだ。身体の相性が良いということは恋するものにとっては最も大切なことだからだ。いつでもどこでも欲情できてしまうのは人間に与えられた特殊な能力だし、とても重いマンホールのふたでふたしまって仕合せをとりこぼすよりずーといいに決まっている。そんな真っ正直で素直な気分で過ごせる相手と巡り合えるのは奇跡なのだからだ。相手の男の性格の悪さなどお構いなしにこの映画は無防備に作られていて女にとって性愛がいかに貴重なものであるかを描いている。
男も女も恋すれば、生々しくひとつになりたいと願うのだ。
そう、「あなたの身体のなかに入ってしまいたい!」と叫んでしまう。
しかし、そんな相手はそう簡単に巡り合えない。

日本のAVを観ていたせいか、セックスシーンが美しく見えた。
この様な表現が丁度いい。

セックスに溺れたのか、愛に溺れたのか、両方が行ったり来たりしてる。
待つだけの関係は、セックスだけと割切りが必要だが、結局は愛してしまい、苦しむことになる。帰したくないと突然思うところ、男の方も、帰りたくないと思わないのだろうか？

気持ちを良く理解できるので、苦しみを思い出してしまった。
モスクワの空気を味わうところは、共感。
既婚者で溺れても、結局苦しむだけなのね。
でも、それは素敵な思い出。

あ、ちなみに私は男性です。
女性の気持ちに共感してます。

セルゲイポルーニンがいい体でした。