アメイジング・スパイダーマン
プロット
アメリカ
06月30日 2012 台灣上映
グランド・ジャーニー
プロット
フランス・ノルウェー合作
07月23日 2020 台灣上映
センチメンタル・ジャーニー
プロット
アメリカ
03月01日 1948 台灣上映
ジャーニー・オブ・ホープ
プロット
スイス
09月07日 1991 台灣上映
追想ジャーニー
プロット
日本
11月11日 2022 台灣上映
メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー
プロット
カナダ
06月24日 2006 台灣上映
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ザ・フー:アメイジング・ジャーニー評論(2)
その方向性や動きの精密さはどうであれ、史実として捉えようとするベクトルが上手く向かっている。
そのことに快く思う。
まだまだ着手し始めな分野でもあるし、一つのバンドやアーティストの経歴が途中で切れてしまったりと、研究する人間の技量やそれに関わる人材の量など、課題も多いはずだ。
何より、ロックンロールが市民権を得るまでには、それ相応な時間が掛かった。
大人たちの世界観へ、ロックンロールが投げかけた精神は、なかなか理解されずにここまで来た。
その歴史と共に歩んだ偉大なバンド、フー;The WHOもその一つであろう。
映画「アメイジング・ジャーニー」は、フーのバイオグラフィーでありロックの歴史そのものを辿ったドキュメンタリーだ。
正直言って、何かを揺り動かすようなストーリー性や涙を誘う感動があるわけではなく、あくまでもロックンロールの資料映像という見方をすると、そこそこ理解と驚きが隠されている。
印象的だったのは、ロックオペラ「トミー」に関しての深い思いだ。
彼らにとってあの作品は最大の功労だったらしい。
音楽だけに関わらず映像も含めたエンターテイメントの結集、その試みは随分と酷評されているものの、楽曲の鮮やかさは常軌を逸して今でも心に響く。
またライヴ盤「ライヴ・アット・リーズ」の貴重映像がモノクロで現存しその一部すら垣間見れる。
ロジャー・ダルトリー、ピート・タウンゼント本人たちが、自身の声でフーの歴史をひも解くので信憑性はかなり高いものだ。
メンバーが出会ったころや最近の心境など、バンドの目まぐるしい動きをスタイリッシュに切り取っている。
ハイナンバーズという名称で活動していた頃のこと、MODSのイメージにカテゴライズ化されたことへの憤り、楽器を破壊する美学、そして他界したメンバーについての意外な事実など。
特にベーシストのジョン・エントウィッスルについては、プライベートな表情や行動の意外性に驚かされる。
ある意味フーというバンドの存続を左右させ、重要なポジションにいた人であることを思い知らされた。
人は見かけによらない・・・とよくある言葉は、まさにその通りだった。
実にこの4人、どうしようもなくいい加減で、弱くて、だらしのない連中だ。
ビートルズ、ストーンズ、ツェッペリンらとも並び称されるくらい、ロックが巨大化する歳月の重要な部分を背負ったバンドだから、その反動は並ならぬ大きさだったのだ。
一人の人間がそんな反動など請け負うには、少々きつすぎるのも無理はない。
彼らのほとんどが薬物に頼ってしまったようだ。
一つ一つの出来事に関して、エピソードそのものは赤裸々に語られつつも、どこかで深い愛情を感じる。
淡々と語る中にも、血がたぎっていてその流れる音が聞こえてくる。
嘘も方便とは言うけれども、ここには全く微塵もなさそうだ。
共通性のない4人の個性派は、征服感や満足感、葛藤や嫉妬、ありとあらゆる人間の感情を剥き出しぶつかり合っていたのだろう。
そんな衝突は、いつしか音楽を演じる上で最上なパフォーマンスと化し、フーという名の爆発的な核融合そのものになったのだ。
他には無い独自な核分裂は、やがて悲劇さえも引き起してしまう・・・今や残された2名のオリジナル・メンバーも、すっかり初老の仲間入りだ。
だからと言って、彼らは決して後ろを振り向いたりせずしっかり前を向き歩んでいることが嬉しい。
熱くエネルギーに満ちたステージングや楽曲の完成度を追求する姿勢は全く衰えておらず、むしろこれからも進化していく予感さえする。
「残された2人が、音楽いうキーワードで初めて繋がった」とロジャーが語るその眼は、静かに蒼く燃えるかのようだった。
まるで18歳のような瞳だった。
すべてはエネルギーなのだと改めて感じる。
重要なのは理屈や考えだけではなく、感じたものを実演する度胸とパワーからだ。