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ネゴシエーター評論(4)
エディ・マーフィー演じるスコットは警察の交渉人役なので、劇中でどんなに喋り倒して交渉を盛り上げてくれるのかと思いきや、あまりそのような場面はない。むしろ交渉よりも派手な活劇でみせてくれる作品なので、緊張の交渉を期待していると肩透かし。これでは別に彼が交渉人である必要性はなく、むしろ普通の刑事ものになってしまっている。原題は「Metro」なので、誤解を招く日本語の題名が良くない。
そんなわけで特に息詰まる交渉が展開されることもなく物語はありふれたものであるが、その代わりに活劇が派手で面白い。特にサンフランシスコ市内の車と路面電車での追跡劇は相当に迫力があるし、次々に破壊されていく車はこの作品の最大の見せ場。
配役に関しては、犯人のマイクが、犯罪も殺しも躊躇わない根っからの反社会的犯罪者として、怖い敵役としてなかなかの健闘をしている。スコットの相棒役のケビンは、かなり大きく活躍したわりにスコットとの普段の絡みが少なくて、活劇場面だけのとても有能な助っ人役に止まってしまっているのは残念。彼女役の恋愛での絡みを減らして、相棒の人柄やスコットとの関係をもっと掘り下げたほうが、作品としては面白くなっただろう。
かつての相棒が宝石強盗の捜査中に殺され、犯人コーダを追い詰める。中盤の街中でのアクションが凄い!これは映画館で観たかったところだ。とりあえず逮捕したが、逆恨みされ、スコットのガールフレンドである新聞記者が狙われる。襲ったコーダのいとこは死んでしまうが、腹の虫がおさまらないコーダは脱獄し、執拗に彼女を狙うのだ・・・
彼女の部屋で発見した紙に包んだモノ。コーダを捕らえるときに見た人質の切り落とされた耳がまたあるのではないかとハラハラさせられる。まじでびびった・・・
邦題にあるネゴシエーター(交渉人)はあまり意味をなさない。主役のエディ・マーフィの職業が交渉人であるというだけで、プロットにはさほど影響していないのだ(ちょっとだけ訓練のシーンはある)。話術よりもむしろアクション中心。『ビバリーヒルズ・コップ』シリーズのような爆裂トークは無きに等しい残虐な犯人コーダ(ウィンコット)が印象に残る。
ただ、そのアクションも特に派手さもない。
何もかも中途半端な内容だった。