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化粧師 KEWAISHI評論(2)
映画「化粧師 KEWAISHI」(田中光敏監督)から。
本来なら「お化粧って不思議な力があるんですね」を
気になる一言にするのだが、今回は逆の視点でのメモ。
柴咲コウさん演じる、中津小夜さんが、女優として活躍できるよう、
椎名桔平さん演じる主人公・小三馬に、大金を支払い、
なんとか自分に運が向くような化粧を求める。
彼が施した「化粧」は(たぶん)、塗りたくった化粧を、
拭き取り、落としただけ。そして、彼女を諭すように呟く。
「お客さん、化粧は世渡りのためにあるんじゃありません。
世渡り上手は、一時はよくなっても、
いずれは、しっぺ返しがきます。
化粧は、所詮、外面を整えるもの。
化粧で繕っても、やがて自分が出ます。
心に化粧するのは、あなた自身」だと。
そして、その言葉を噛みしめるように
「心に化粧するのは、私自身」と言い直す彼女が、
ふっと何かに気付くシーンが、印象に残った。
主人公の男性が「お化粧」という技術を施しながら、
彼女たちの人生を変えていく物語と勘違いしたまま、
この会話をメモしたため、後になってとても輝いてきた。
本当は、お化粧なんて必要ないんだ、という意味を込め、
化粧を落としていく。
それは、化粧をしない男性にも、同じことが言える。
自分の心を磨くこと、何かで自分をよく見せようとしない、
そんなメッセージを作品からいただいた。
P.S.
「化粧」って、本当に「けわい」って読むんだなぁ。
「耳が聞えないんだよ」と憲兵に引っ張られそうになる彼を助ける菅野美穂や、何もかも失ってしまった女優を目指す池脇千鶴がなかなかいい。それに彼のやったことは化粧だけではなく、子供たちに字を教えるというリッパなことも・・・