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ロンリーハート評論(3)
父と子の愛も感じられます。
ジョン・トラボルタの父親の顔が何とも言えず素敵。
結婚詐欺で相手の心を弄び、感情を制御出来ず唐突に撃ち殺そうとし、かすかにうめき声をあげるのを聞いて「まだ死なない」とか悪態をつきながらそのまま鞄に詰め込もうとする。とても下劣な犯罪者たちの残酷さ・異常性をそのようにあますことなく描いた戦慄の演出に衝撃を受ける。人を殺すということは銃をもって引き金をひけばお終いではないのだというのをわからせてくれる。私にとっては「プラトーン」でアメリカ人兵士がベトナムの村人を脳が飛び散るまで銃床で殴り続けた場面以来の残虐さだった。このような残酷な作品は一般受けしないだろうし公開映画関数も少なくて興行収入も惨敗のようだが、その衝撃がある故に現実に迫っていて演出の質が高いと感じた。R15指定だが、確かに子供は見ないほうがいい。見ていて気分が悪いが、映画としては非常に印象の強くてある意味で面白い作品となった。
刑事役のトラボルタも悪くなかったが、やはり犯罪者役の二人の演技が良かった。特にマーサ役のサルマ・ハエックという、私は存在を知らなかったメキシコ人女優のきれた演技は上出来だった。「L.A.コンフィデンシャル」にも似た、作品全体を覆う緊迫した暗く冷めた雰囲気作りもいい。同じような設定の映画の「俺たちに明日はない」は凶悪犯罪者をなんとなく英雄視していて好きになれなかったのだが、本作品の下劣な犯罪者を下劣に描くという視点も支持できる。