一流法律事務所に勤務する弁護士ベケットは、自分がエイズに感染したことを知る。やがて会社はベケットに解雇を宣告。エイズ患者に対する不当な差別だとしてベケットは訴訟を決意し、以前は敵として法廷で闘ったことのあるミラーに弁護を依頼する。ミラーはベケットがエイズ患者であり、かつ同性愛者であることに偏見を抱き、一度は依頼を断るが、それでも偏見や蔑視と戦おうとするベケットの姿に心を打たれ、弁護を引き受けることに。しかし、裁判は日に日に衰弱していくベケットとその関係者にとって過酷なものになっていく……。自由と兄弟愛の街フィラデルフィアで展開される裁判の行方を描いたドラマ。ベケットを演じたトム・ハンクスがアカデミー主演男優賞を受賞。ブルース・スプリングスティーンによる主題歌も歌曲賞を受賞した。
フィラデルフィア評論(20)
トムハンクス、デンゼルワシントン主演。
エイズに侵された役柄を演じる、トムハンクスの変貌ぶりに衝撃。言われなきゃトムハンクスだとわからないレベル。アカデミー賞主演男優賞獲得も納得。
俳優陣が豪華だし、シリアル感は伝わってくるんだけど、どうせエイズとかゲイとかの題材を扱うなら、もっと深くまで追求できたんじゃないかなぁ…。より面白い作品になり得たのではと凡人ながら思います。
補佐主任に昇進した女性のエピソード、考えてしまう。
トムハンクス、デンゼルワシントン主演の法廷ドラマ。と言うよりは、ヒューマンドラマですね。
法廷バトルを少し期待していましたが、それは控えめ。ストーリーとしてもやや起伏や意外性に乏しい印象を持ちました。ただただ、二人の名優の素晴らしい演技に見惚れる、そんな作品です。
中盤にあるオペラのシーンはトムハンクスの熱演が光りますが、私の贔屓目にはデンゼルワシントンの表情の変化に驚かされます。
今ではゲイも表立って差別されることも少なくなり、そしてエイズも不治の病ではなくなりました。そんな時代の移り変わりも感じさせる映画です。
裁判の進み方もドラマティックな展開があるわけではなく、倒れはするが、淡々と流れる。キャスティングはグッド。
結局、主人公は死んじゃうわけだし、映画会社が人の死を商売に利用しているようにも思えて来てならないからだ。
さあ、ここが泣きどころだと言わんばかりのあざとい演出に辟易する時もある。
難病ものと法廷ドラマを合体させたような本作では、トム・ハンクスが死を目前にした男の絶望と生への躍動を見事に表現しオスカーまで獲得したが、ハンクスにとってそれは、自身のスランプと言う長かったトンネルを抜けてこその深みのある名演技だったように思う。