ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニというイタリアの2大スターを主演に迎え、戦争によって引き裂かれた男女の愛を描いたドラマ。結婚して幸せな日々を送っていたジョバンナとアントニオだったが、第2次世界大戦が勃発し、アントニオはソ連の最前線に送られてしまう。終戦後、帰らない夫を探しにソ連を訪れたジョバンナは、命を救ってくれたロシア人女性との間に家庭を築いていたアントニオと再会する。逃げるようにイタリアに戻ったジョバンナだったが、数年後、もう一度やり直したいとアントニオが訪ねてくる。「ミラノの奇蹟」(1951)、「悲しみの青春」(71)などで知られ、74年に他界したイタリアの名匠ビットリオ・デ・シーカの晩年の名作。2011年にニュープリントでリバイバル公開。2020年には製作50周年を記念してHDレストア版でリバイバル公開。
ひまわり(1970)評論(20)
ひまわり畑のタイトルバックとヘンリー・マンシーニの音楽、これだけでかなり満足。最初に観たのが中学生の頃、TVでだった。ソフィア・ローレンという女優は、どうも吹替え版のほうが雰囲気が出ていていいかもしれない。兵役からほんのわずかの12日間逃れるための結婚。食べ切れなかった卵24個のオムレツ。兵役を逃れるための狂言暴行がバレてソ連戦線へ、などといった小ネタもあったんだな。
小麦畑やひまわり畑の下に眠る多数の戦死者。十字架を形取った広大な墓地も対照的に描かれている。夫アントニオは生きているという何の根拠もないまま探し続けるジョバンナ。一瞬だけ再開し、列車に飛び乗り泣きくずれるソフィア・ローレン・・・この演出が最高。ベタではなく、自然でもなく、ナポリ娘の気質を演技一つで表現した素晴らしい出来・・・だと思います。
前半での夫婦の軽妙なやり取りから一転、後半は哀愁のメロドラマ展開。
タイトルにもなっている花の「ひまわり」のように、芯が強くてバイタリティにあふれ、花言葉の「あなただけを見つめる」を体現するかのように、夫だけを追っていた妻。
そんな彼女をモスクワで待ち受ける酷な現実。
ひまわりはロシアの国花だが、本作でのひまわりは、悲しい歴史を土台に咲いている。
これほどまでに多面的な意味を持つ花があるだろうか。
いままた、リマスター版で観た。
ソフィアローレン、セクシーでしかも演技派。
マルチェロ、深い悲しみの表情がいい。
列車で遠ざかるシーン、
まるでキリストのようにせつなかった。
北の地にさきさかるひまわり。
その一本一本の意味、、
せつない、ラブストーリーに止まらない、深い戦争への反対の意思を感じ、
骨太の映画と思った。
ストーリーはパッケージ裏にほぼ全て書いてある。戦争先で記憶を無くした恋人がそこで家族を作っていた。そうとも知らずに待ってた恋人の苦悩、最後2人は決別して、終わり。
最近の映画みたいに、ストーリーがよく練られたものに慣れてしまうと、まあ物足りない。でも、イタリア人独特の雰囲気とか、間とか、情熱的な感じとか、ストーリー以外で伝わるものは多い気がする。てかそもそも、こういうストーリーも、公開当初は目新しいものだったんだろうな。
最後の二人、正しい決断だと思う。子どもがいるんだからね。でも、にも関わらず、アントニオ途中まで家族捨てる気だったのがちょっと腹立つ。でも正しい決断の苦さがスゴイのもわかる。苦いな〜、イジワルな映画や。