シオドア・ドラーサーの原作小説「アメリカの悲劇」の映画化(2度目。前作はジョゼフ・フォン・スタンバーグ監督)で、「ママの思い出」のジョージ・スティーヴンスが製作及び監督に当たった1951年作品。「勇者のみ」のハリー・ブラウンとマイケル・ウィルスンが脚色し、撮影はウィリアム・C・メラー(「シンガポール珍道中」)、作曲はフランツ・ワックスマン「青いヴェール」の担当。主演は「赤い河」のモンゴメリー・クリフト、「緑園の天使」の「その男を逃すな」のシェリー・ウィンタースの3人で、アン・リヴィア「永遠のアンバー」、新進キーフ・ブラッセル、フレッド・クラーク、レイモンド・バー、ハーバート・ヘイスらが助演する。なお本作品は、51年度アカデミー監督賞、脚色賞、黒白撮影賞、作曲賞、編集賞、編集賞、黒白衣装デザインと6つのオスカーを獲得した。
陽のあたる場所評論(13)
彼はファーストカットから孤独である。
大きい看板の前で1人、
孤独な青年は誰かと繋がるために女と恋に落ちるが
それはただの気休めでしか無い。
少女との出会いが彼を変えていくのだが、
幸せな2人に相反して、物語は悲しい結末へと進んでいく。
モンゴメリークリフトとエリザベステイラーの
淡い恋模様も実に見ごたえがあるのだが、
劇中流れる音楽や、カット割りがキラリと光る素晴らしい映画なので是非一度見てもらいたい
やがて男はその努力を買われ出世、上流階級社会のとびきりの美女(E・テイラー)に気に入られる。男は当然このとびきりの美女に惹かれて行く。しかしその時、同僚の女のお腹には男の子が…
こう書いただけで次の展開が読めますよね。なんとわかりやすいストーリー。しかしこれが深いんです。
話はクライムサスペンスから法廷劇へ。一瞬たりとも目が離せません。
この作品には真の意味の悪人が出て来ません。それが話を深く、面白くさせています。
主演の二人もとても魅力的です。特にE・テイラーの洗練された美しさ。男なら、そらこちらを選んでしまうでしょう(笑)
古い作品ですが見逃せない一本です。
誰しも自分より少し上に憧れる。
高嶺の花が目の前に現れたら…。実は手が届くとしたら…。
学校にも行かず家計を支え続けた生活と、宗教活動に熱心な母親から遠く離れ、アメリカン・ドリームを抱いてやって来たGeorge。社内恋愛禁止の職場でも、場違いな社交界のパーティでも、人肌恋しく居場所を探し続けます。その場所が憧れの上流社会なら尚更良いと…。
親戚なのによそよそしくて冷たい社交辞令、話し相手もおらず馴染めないパーティといった「陽のあたらない」描写が生々しかったです。
Georgeに憧れるAlice、Angelaに憧れるGeorge。女性側は本当の愛なのかな?ただGeorgeのほうは?気持ちは理解出来るけど(^^;)。物凄く分かりやすい三角関係が展開されます。彼のあまりの計画性のなさ、あやふやな殺意に、そりゃすぐバレるだろ、とツッコミたくなります。恋愛にも犯罪にも、知識と知恵は必要ですね。
Georgeの田舎者らしい野心だけでなく、自分を偽りきれずに素朴で正直な性格が、"The Great Gatsby"などと異なるのかなと思いました。要は未必の故意か?ということですが、すんなり刑を受け入れるのも彼の性格だからこそでしょう。原作のタイトル通り悲劇です…。
"In your heart, it was murder."
別れ際にキス、キス、キス。初めてのデート、そしてやがて深い関係に・・・会社にばれたら2人ともくびだと思っていたが、妊娠が発覚。そしてジョージは上流階級の娘アンジェラ(テイラー)とも恋心が芽生えてしまう。
ラジオからは死者のニュース、アンジェラの別荘に誘われ、そこで水死事件の話を聞く。当然、邪魔になったアリスを溺死させることを思いつく・・・お誂えむきなことに、アリスは泳ぐことができないときたもんだ。 ジョージの母親は教会の伝道師もやってるし、堕胎さえ気が引けていたし・・・苦悩するジョージ。一方、アリスは結婚を急かす・・・教会が休みだったので別荘近くのアビ湖へ誘いボートに乗る。偽名を使い、沖まで行って偶然ながらも転覆・・・
出世欲に目がくらみ妊娠させた女を捨てる話は古今東西あるパターン。初めてこの三角関係を知ったのは石川達三の『青春の蹉跌』だったが、ほとんどが政略結婚によるものだと思う。
なぜだか裁判のシーンも丁寧に描かれている。ちょっと無駄だったような気もする。それよりも殺してしまった後のジョージの心理変化や、アンジェラの祈り、そして母親の救済活動があればよかったかな。
ただの女好きじゃん~今も昔もこういうヤツは許さんよ