「8人の女たち」のフランソワ・オゾン監督が、エルンスト・ルビッチ監督作「私の殺した男」の原作としても知られるモウリス・ロスタンの戯曲を大胆に翻案してオリジナルストーリーとして昇華させ、モノクロとカラーを織り交ぜた美しい映像で描いたミステリードラマ。1919年、ドイツ。婚約者フランツをフランスとの戦いで亡くしたアンナは、フランツの両親と共に悲嘆に暮れる日々を送っていた。ある日、アンナは見知らぬ男がフランツの墓に花を手向けて泣いているところを目撃する。アドリアンと名乗るその男は戦前のパリでフランツと知り合ったと話し、彼が語るフランツとの友情に、アンナもフランツの両親も癒やされていく。アンナはアドリアンに次第に惹かれていくが、実はアドリアンはある秘密を抱えていた。アドリアン役に「イヴ・サンローラン」のピエール・ニネ。「ルートヴィヒ」のパウラ・ベーアがアンナ役を演じ、第73回ベネチア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞した。
婚約者の友人評論(20)
オゾンだからきっといつもの意地悪な感じのお話なのでは、という期待が強すぎて、あれれすごくスタンダード…と鑑賞後に感じてしまってちょっと肩透かしでした。なので、☆3。
オゾンでなければ、先入観なく見られてもうちょっとよかったかもしれません。意地悪でアクの強いオゾンが好きなのでこうなっちゃいました。
でも、よくよく考えると十分いい映画なんですよね…
オゾン作品を全部見たわけでもないので、少ない例をとって勝手に期待するといけません。
殆どモノクロ、だけど恐らく主人公アンナがときめいたり印象深かったりする場面が、突如フルカラーになります。
例えばアドリアンとお散歩していて、天然のトンネルを抜けると鮮やかな春(ですよね?)の景色が現れたり、
マネの「自殺」を前に、生きる力が沸くと語るアンナのラストショットだったり。
あとは、戦場の回想ですね。突如現れるカラー映像が確かに効果的に印象に残っています。
戦死した婚約者の墓に花を手向ける美男子がいて、どうやら死んだ婚約者の両親に会いにきたっぽい。
婚約者はパリに留学していたしきっと旧友だ!ということで、息子を殺したフランス人を憎む父を懐柔してアドリアンを迎え入れ、
息子の話を聞かせてもらい、両親もアンナも悲しみが少しだけ解れる。
アンナは何ならアドリアンに恋慕を抱きつつある雰囲気さえある。
だけど、本当は、アドリアンは婚約者を戦場で殺したフランス兵だったのです。
致し方なく殺してしまったドイツ兵の家族に許されたくって、アドリアンはアウェイの地、ドイツに来た。
事実を知ったアンナは、当然ながらアドリアンを拒絶しますが、フランツの両親には言えず、アドリアンの母急病のため急に帰国したと告げる。
色々あってアンナはアドリアンが泳いだあの湖(川?)で入水自殺を計ります。が、助けられる。
その後、アドリアンより手紙が届きます。フランツの両親への謝罪がつづられた手紙です。
アンナはそれをもやし、フランツの友人としてのアドリアンからの手紙を朗読したりして、両親をいたわります。
そんな折、前から求婚されていた男よりまた求婚されるも、アドリアンが好きなんでしょ的な後押しを両親にされ、
アドリアンを探しに今度はアンナがフランス・パリへ。
旅券を見せては、ドイツ人!?と差別され、アドリアンの気持ちがちょっとわかったりするアンナ。
どっかの食堂では軍人を見て国家を歌い出す客たちに、ぽつねん、なアンナ。この辺はオゾンらしい皮肉と受け取りました。
色々探して田舎に引っ込んだアドリアンを探し出すと婚約者がいるし、なんか家族に迷惑がられ、恋は終わる。
でも見聞を広げたアンナは強く生きて行けそうだ、みたいなお話でした。
うーんやっぱふつうにいい映画なんですよね。
でもオゾンにはもっともっとニッチで意地悪なアイロニーを欲してしまったが故に。すみません。
オゾン作品特有のエグさみたいな物がなくて、落ち着いて観ることができました。
(ないのも寂しいのですが)
戦争によるすれ違いという使い古された題材を、普遍的に描きつつも、しっかりとオゾン作品になっている。
なんというか、力量が上がったなぁと感じさせます。
前半はふたりが同じように孤独だと思って観ていたのですが、予想外の展開で、アンナの孤独が際立ちます。
錯綜してゆく中でのキスシーンや、死にさえ拒まれた中でのラストカットはとても良かったです。
とにかく孤独、果てしなく孤独。
だからオゾン作品が大好きです。
フランスとの戦いで
婚約者フランツを亡くしたアンナの元に
フランツの友人 アドリアンが現れる .
何故会いに来たのか…
『彼を知れば知るほど好きになる』
『君に許しを請いに…解放されたくて…』
アドリアンに惹かれはじめるアンナ
.
養父母の優しさ
気遣うアンナ
アドリアンの罪な純粋さ
読めなかった展開
そして
美しい映像・美しい音楽・美しいニネ
.
この映画とても好き
俳優も良し。
ラストシーンは生きる事を決意したのか?、自殺を仄めかしているのか?どちらとも取れるように思いますが。。