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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実評論(20)
言葉の意味はわかるが、思想を読解することができない。
討論の合間合間に文化人の方や元全共闘、楯の会の方が解説してくださっているので断片的に理解できるところも少しはあった。
感覚的な意見は、三島氏の方が学生より何枚も上手である印象だった。
絶対に揚げ足をとるなどしてくだらいない論争に持ち込まないところが、もしかしたらそれが普通なのかもしれないが、紳士的だった。
50年前の出来事だから学ぶ必要ないとは思えないと改めて思った。
たま、50年前と比べると現在がいかに冷めているかということも感じた。
政治だけではなく生きることに対して熱量があったのだな。
鑑賞して後悔しない作品だった。
50年前に東大全共闘が主催した三島由紀夫との討論会の映像に、当事者やゆかりのある専門家たちのインタビューを追加したドキュメンタリー。正直、喧々諤々の大激論を想像していたので若干肩透かしにあった気分だった。
映像の三島由紀夫は論理的に話そうと心がけていたし、話し方も紳士的で笑いもとるくらいのユーモアもある。あー、この人は魅力にあふれていると感じた。三島の考え方は好きではないが、好きになる人の気持ちもわかった。
日本の左翼運動・学生運動はなぜ廃れたのか。学生たちがふっかける論点や三島と議論する内容はかなり哲学的で難しい表現であった(時代が違うといえばそれまでだが)。彼らは革命への熱情はあったと思うが、思考遊びが過ぎたのではないか。大衆の支持を失っていった一因はそんなところにあるのかもなんてことを考えてしまった。
不思議なことに、基本的には昔の討論とインタビューを交互に映し出すだけの映画だが、飽きずに観ることができた。昔の映像の加工であったり、全体の構成がよかったんだなと実感。こんなドキュメンタリーならまた観たい。
三島の迫力も凄かったが、赤ん坊を抱いてた学生が負けてなかった。
天皇のくだりは賛否両論有ると思うが、筋は通ってた。
切腹自殺せずに生きててほしかったと思う。
どんなに論理で他者を論破したところで、「はいじゃあそうですね私が間違ってました」とならないのは、人には意地があるからである。日本人が天皇抜きで考えることは、きっとできない。これは歴史の長さ、伝統で根づいたどうしようもない日本人の底意地だからだ。
学生たちは若さ故の潔癖と素直さ、血気盛んなエネルギーも相まって過激な思想を語っていた面もあるかもしれない。
しかし、猥褻な現在の日本に対しての怒りは本物だろう。
三島由紀夫もそこは同じであるように思う。
三島由紀夫は、本来人間の唯一の武器であり道具である「言葉」を使い真摯に学生たちや戦後世論と向き合い、また「言霊」を信じ発信し続けた。それは自身が日本人であることに誇りを持っていて、日本を愛していたからに他ならない。
今現在の日本国民は、果たして意地があるだろうか、怒りが、誇りがあるだろうか。50年前の彼らに応える熱量はあるのだろうか。
半ば同情的に、惰性的に差別反対や戦争反対と声を上げているが、これは本当に自分の意見なのだろうか。本物の差別を目撃し、本物の戦争の恐怖に怯えたことがあるのだろうか。
生きている意味をこんな陳腐なことに見出だしてしまうほど、自身の中身は空っぽなのだろうか。
日本の行く末を心配していた人がいた最期の時代。覚悟がある人がいた最期の時代。「日出ずる国」は、復活するのだろうか。