1948年に木下恵介監督、1962年に市川崑監督も映画化した島崎藤村の名作「破戒」を、「東京リベンジャーズ」の間宮祥太朗主演で60年ぶりに映画化。亡くなった父から自身が被差別部落出身である出自を隠し通すよう強い戒めを受けていた瀬川丑松は、地元を離れてある小学校の教員として奉職する。教師としては生徒に慕われる丑松だったが、出自を隠していることに悩みを抱いている。下宿先の士族出身の女性・志保との恋に心を焦がす丑松だったが、やがて出自について周囲に疑念を抱かれるようになり、学校内での丑松の立場は危ういものになっていく。苦しみの中、丑松は被差別部落出身の思想家・猪子蓮太郎に傾倒していくが……。間宮が主人公の丑松役を演じるほか、志保役を石井杏奈、友人で同僚教師の銀之助役を矢本悠馬、猪子蓮太郎役を眞島秀和がそれぞれ演じる。監督は「発熱天使」の前田和男。
破戒評論(1)
今回の難役をどう演じるのかを
たのしみに完全披露試写会で鑑賞。
教え子に隠していたことを詫びる丑松。
一人ひとりがおどろきながらも
一生懸命受けとめようと聞き入る。
親友銀之助との関係性も
次第にお互いの立場を
想像した会話や表情に変わっていく。
理解しようと変わっていくさまに
触れるたび、涙でした。
出自は謝ることではないのに。
並大抵では乗り越えることが
困難だったであろう時代。
苦悩、激情を抑えつつ、
生徒には真摯でありたい丑松。
原作は被差別部落出身の主人公の
葛藤が描かれる。
人を思いやること、
相手の立場を受け入れる
大切さを丁寧に描いてる
上質な映画だった。
台詞のない表情から心情が
滲み出るシーンも多くて。
氷室ローランドもあたり役だったけど
間宮くん、ほんとうに大人になったなぁ。