監督デビュー作「ぼくの人魚姫」で高く評価された台湾の人気俳優ラン・ジェンロンが、自身の亡き恩師をモデルに撮りあげた青春映画。1994年、台北。予備校「成功補習班」に通うチャン・ジェンハン、チェン・シャン、ワン・シャンハーの3人組は、予備校で「成功三剣士」と呼ばれる問題児だった。卒業後それぞれの人生を歩んでいた彼らは、入院中の恩師シャオジーを見舞うため久々に再会。先生の言葉をきっかけにかつて通った予備校を訪れ、懐かしい青春の日々を振り返る。高校3年、大学入試まで残り約1カ月となったある日、成功補習班に代理講師シャオジーが着任してくる。シャオジーは枠にとらわれない授業で生徒たちに寄り添い、3人は自分らしく生きるシャオジーと過ごすうちに、それぞれ自分自身と向き合うようになっていく。注目の若手俳優ジャン・ファイユン、チウ・イータイ、「ひとつの太陽」のウー・ジエンハーが主演を務め、シャーリーズ・ラム、ホウ・イェンシーが共演。2023年・第36回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門では「成功補習班」のタイトルで上映。
台北アフタースクール評論(3)
愛や友情、生きることをテーマにしたLGBTQ映画。94年の当時の台湾をモチーフにしていて、懐かしさ然り。
まずは劇中歌『モニカ』に度肝を抜かれる
。こちらはレスリー・チャン版だが。
当時のレコメンドインパクトが凄すぎる…(苦笑)。
さらに追い打ちをかけるようにラストで、も一回流れて、もう、家に着いても、モニカが忘れられなくなります。
実在した監督の恩師である、塾講師のミッキー先生。90年代だとかなり前衛的な思考の刺激的な存在であったろうと思う。
そして、こういう個性的な人を1人の人間として好意的に受け入れる監督の感性もまた素敵だなぁと思いました。
アイデンティティを探している10代の頃は、没個性にしたがる大人に反発して、未知の世界へいざなう大人が、とても羨ましくて魅力的に感じたが、この作品も、テーマこそLGBTQだが、目線はジュブナイルなので、こういう自分探しの旅というのは、どこで生まれて、どんな環境で育っても、同じなんだなぁ〜と、甘酸っぱい気持ちにさせられる映画でした。見て良かったです。
それに併せて、昨今のダイバーシティを反映したLGBTQ+事情にも触れる。それを象徴する曲としてレスリー・チャンの『モニカ』を引用しているのに唸らされた。吉川晃司の原曲とは大きく違う歌詞、それを歌うのがレスリー…切なすぎる。アジア映画界は本当に偉大な才能を夭折させてしまった。