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ノートルダム 炎の大聖堂評論(6)
誰でもスマートフォンで動画撮影できる時代になったこともあり、本作にも火災当時に撮影された大聖堂の遠景や周辺で見守る人々をとらえたスマートフォン動画を含むフッテージが適宜挿入されている。本編の大半を占める再現ドラマパートとの編集によるつなぎが巧みで、映像の質感もうまくなじむよう処理がなされたようだ。マクロン大統領が執務室で火災の報告を受け現場に出向くシークエンスもあるのだが、驚いたことに消防隊長を演じる俳優と言葉を交わす場面まである。あの部分は大統領が再現ドラマの撮影に協力したのだろう。ただしジャン=ジャック・アノー監督は、消防隊のトップたちが“ダミーの指令所”を設置してお偉いさんやマスコミなどの応対をさせた話まで皮肉たっぷりに再現している。完成した映画を観てマクロンはどう思っただろう。
クライマックスの鐘楼内などは実物大のセットを作り、多数の調節可能なノズルから炎を出して、内部の燃え具合を正確にコントロールしながらIMAXカメラで撮影していったという。もちろんポストプロダクションでCGの炎なども追加しているものの、火災現場で命懸けの消火活動に臨む消防士らの奮闘が一級のスペクタクルとなっている。消防士の活躍をヒロイックに描いた「バックドラフト」や「オンリー・ザ・ブレイブ」、大規模施設の火災と懸命の消火を再現したという点では「バーニング・オーシャン」など、ハリウッド大作にもひけをとらない迫力だ。
ラストに描かれる“ささやかな奇跡”は、キリスト教信者向けのサービスのつもりかもしれないが、底の浅い伏線回収というか、信者以外の人にとっては蛇足のような気もするがどうだろうか。
『薔薇の名前』くらいに、アメイジング!
ウソのようだが全て実話だ。
冒頭からアノーらしい。
ジャン・ジャック・アノー作品の新作を観れるとは夢のよう。
何を観客に観せるか、
魅せるか、
演出、芝居、カメラの噛み合い方が、
全盛期のアノー作品のようだ。
消防車、自動車、電車、
燃え盛る炎、噴き上がる煙幕、
全てがドキュメンタリーのようで、
巧妙に計算されたフィクションだ。
大統領、役人、一般人、
ひとの汗、鼓動、ため息にも寄り添う。
聖なる冠、十字架、血、歴史的遺品と、
消防士の命の比較、
畏敬の念も忘れずに社会、
時代、世界を突き通して、
セカイ系作品として昇華させる。
実際のニュース映像、
フィクションの芝居、
巨匠アノーに手にかかれば、
すべてはエンタテインメント映像(歴史的大事故を後世に残す為にも退屈な教訓映像にしない、判断基準は観客の胸に深く刻むのは、フィクション?ノンフィクション?)。
劇場で、IMAXで、
改めて魅せられにいく。
巧みな匠はまだまだ現役!
- ノートルダム大聖堂の古さ故に、様々な機器類の綻びに依る大火災が発生するも、消化に奮闘する消防士達の崇高な姿が印象的な作品。-
◆感想
・2019年の実際の映像も盛り込んだ、CGを極力使わずノートルダム大聖堂を大セットに作り上げての火災のシーンは圧巻である。
ー マクロン大統領が、消防士たちを励ますシーン等が、リアリティ感を出している。ー
・”いばらの冠”を、救い出すシーンにはハラハラしたなあ。
ー 人間はパニックになると、大切なことを忘れてしまうのか・・。-
・溶けた鉛が流れ落ちてくるシーンや、屋根から様々な装飾品が落ちてくる様も、恐ろしい。
■消防士達が"決死隊"を志願して結成し、危険極まりない大聖堂に飛び込んで行く崇高な姿が染みた作品。そして、彼らの献身的な消火活動により、ノートルダム寺院は全焼を免れたのである。
<消防士たちが懸命の消火活動をする中、多くのフランス人達が”アベ・マリア”など聖歌を歌いながら、心配そうに見ている姿・・。
今作は、フランス人が、如何にノートルダム大聖堂を愛しているかが、大スクリーンから伝わって来た作品でもある。>