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生きる LIVING評論(20)
オリジナルの細部を削ぎ落とし、そこにいかにもイギリス映画らしい洒脱さを書き加えたのはノーベル賞作家のカズオ・イシグロ。黒澤版が1枚のレントゲン写真から物語が始まるのに対して、イシグロ・バージョンは市役所の若い新入職員が先輩たちと乗り合わせる朝の通勤列車に、仏頂面の主人公、Mr.ウィリアムズが乗ってくるところから始まる。そうして、周囲から距離を置いて見られていたMr.ウィリアムズが、人知れず自分の死を察知した時、誰も想像しなかった行動に出ていたことが判明する時、特にこの映画を観た若者たちに対して、人生に限りがあることを強く訴えかけてくるところが新鮮だ。
誰だって若い頃は希望に溢れ、社会に貢献したいと思っているはず。でも、やがて時の経過と共にそのような熱は日々のルーティンと共に消え去り、気がつくと、ただの組織のコマに成り果てている。黒澤明のマスターピースに敬意を表しつつ製作された『生きる LIVING』は、そうなる前に観ておくべき人生の教科書。Mr.ウィリアムズを演じるビル・ナイの端正で押し付けがましくない存在感が、珠玉のテキストに説得力を加筆している。アカデミー賞は逃したけれど、ビル・ナイって凄い!そう感じるファンは多いに違いない。
同じ時代設定にしたのも良かったし、しっかり英国流に
仕上げられていた。役所内での無責任なやり取り、息子夫婦との
血の通ってないやり取り、あと「ゴンドラの唄」の部分がどうなる?って
思っていたら、ちゃんと考えられていた。その歌、なかなか良かった。
ただ、すこし全体的に綺麗に流れすぎたかな。
本家黒澤版は胃癌の苦しさやオドロオドロしさがあったような気がして…。
いかにも、というお堅い英国紳士が、ある日突然の余命宣告。
真面目な彼は、息子夫婦にも打ち明けられず、さらには無断欠勤。
気晴らしの方法もわからない彼は、元部下の女性と会い、
いろいろと話を重ね、自分の悩みを告白。
そして、仕事に戻り、これまで淡々とこなしていた仕事から一転、
市民の方の要望を受け止め、必死に動き、その結果・・・
といったストーリー。ありがちといえば、ありがちだが、
人は最期を悟るとこんなに積極的に動けるものなのか、
誰かのために必死に行動を起こせるものなのか、と感動。
最後のブランコは達成感と哀しみと半々かな。。
リメイク版らしいですが、素直に感動しました。
リメイク前の作品も見てみたいところです。
でも・・・先日観た、オットーのほうが笑いもあり、好きです笑
人は死に至って、何を成して来たのか、何をこれからなすべきかを考えさせられました。
最近高齢者多いせいか死に対してどう接するかの問いかけのような映画が多いのですが、ただ悲しい苦しいだけではなく一生懸命生きるというテーマがこころに染み渡りました。
ウィリアムズは、老いて痩せ細った体型、灰色の髪、気持ちを表に出さず悲観的に話す、貫禄ある紳士
ミス ハリスは、若く丸い体型、ブロンドの髪、前歯が少し出た赤い唇で楽観的に話す、可愛らしいお嬢さん
ウィリアムズは仕事をサボり、ミス ハリスを食事に誘って映画に行ったりして、生きる活力をもらうが、彼女がウイリアムズにつけたニックネームは「Mr.ゾンビ」
余命宣告を誰にも打ち明けられないが
このお嬢さんには、彼女だけには打ち明ける
正直、このシーンに来るまでは眠たい退屈な映画だった
「生きる」は、主人公が残りの人生をどう生きるかの物語ではなく
存命している人々が亡くなったウィリアムズについて語る物語
ミス ハリスに話してその後何を行い、どんな仕事をして亡くなったのか
さりげなくそういう映画になっている
Mr.ゾンビがたくさんいるはずの日本で生まれた不朽の名作「生きる」
同じ島国でマナーや格式を重んじるイギリスでリメイクされたこと
似ているようでとても対照的な「生きる」と「Living」
残りの人生を生きる、一つの参考映画になればと思う