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ブラックアダム評論(12)
それは、タイトルだけだと、ドウェイン・ジョンソンが「ブラックアダム」としてDC作品に参入する映画くらいの位置付けにしか思えませんでしたが、どうやら本作でDC映画が「大きなフェーズ」に突入してきているようなのです。
もちろん本作は「ブラックアダム」を軸としたアクションヒーロー映画としても楽しめます。
ただ、今回の主役となる「ブラックアダム」はアンチヒーローとして紹介されています。そうなると、ヒーローは誰になるのか?
それは、「JSA(ジャスティス・ソサイエティ・オブ・アメリカ)」というスーパーヒーローチームが登場します。
しかも、そのメンバーは、「ジャスティス・リーグ」で登場したスーパーヒーローたちではなく、魔術師ドクター・フェイト、空の王者ホークマン、嵐を操るサイクロン、巨大化する能力を持つアトム・スマッシャーといった感じで、彼らも映画では初登場なのです。
さらには、「シャザム」といったキーワードが飛び出すなど、かなり大きなものが始まるような雰囲気が漂っています。
つまり、マーベル作品でたとえると、新「アベンジャーズ」のようなものが始まる雰囲気があるので、一人のアンチヒーローの映画に「大きなプラスα」がある分、見ておくべき作品と言えます。
個人的には「シャザム」よりも前に本作を作っておいた方が「シャザム」は分かりやすくなっていたのではないか、と感じましたが、DC映画はどのようにまとまっていくのか、まだ全容が見えません。
ただ、本作で確実に何か大きなものが動き出した気配は十分なほど感じられるので、「シャザム2」などでは、きっと新たな仕掛けも見えたりするのだと思います。そう考えると、本作以降のDC映画は単体作品以上の楽しみがありそうで期待したくなります。
感想
物語の内容には部分的不満足の部分もあったが、ドウェイン・ジョンソン初のアメコミ実写映画としては十分に楽しめた。
・物語構成
悪魔の力持つ王冠の製造の為に奴隷にされた国民達。反乱の希望として、選ばし勇者がブラックアダム!長き眠りから、現地民の祈りにより遂に目覚める復讐の神⁈ といった内容。
正直、内容自体は特に目新しさはなく良くも悪くも王道展開を駆け抜ける様な印象を持った。また、展開自体もあまりテンポが良くなかった⁈様な気はした。しかし、ドクターフェイトの未来視を利用した意外性のある展開、ブラックアダムとJSAメンバーとのすれ違いコント的コメディ寄りの会話劇は面白かった。
意外だった事が同じ能力を持つシャザムとの対比構造だ。テス・アダムとアモンの関係がシャザムに成りたての頃メイキャラ2人の関係の対比構造になっていて、興味深かった。
・ロック様はアメコミの世界でも最強...
今作を観た一番の理由である、ドウェイン・ジョンソン初のDC映画という点で言えば、とても満足できた。やはり、ロック様はアメコミ実写世界でも最強キャラクターだった。鍛え上げられた筋肉が、5000年の眠りから覚めし復讐の神としての存在感を終始放っていた。また、他のキャラクターからのブラックアダムの視点も危険な猛獣に出会って怯えているかの様な演出の連続で、とても楽しめた。
・JSA
アンチヒーローであるブラックアダムを制圧する為に今作で初登場する新ヒーローチーム。能力、戦闘スタイル、年齢幅など多種多様な4人のメンバーが活躍する戦闘シーンは率直カッコ良かった。特に、ブラックアダムと直接対立していたホークマン、独自論を掲げ、幅広い能力使いこなすドクターフェイトが好きなキャラクターだった。
戦闘シーンの魅せ方、CGエフェクトがザック・スナイダー指揮下の頃の雰囲気に似ていた点は何処か懐かしく感じた。
・薄味なヴィラン
今作の気になった点にヴィランの存在の薄さがある。ヴィランポジションのキャラクターは序盤の方で直ぐに見抜けるのだが、その後の暗躍シーン、人物背景描写、戦闘シーンなど全てが薄味な印象で少し気になった。
・今後の展開
今作以降、再度クロスオーバー化していくようで、今作でもクロスオーバー展開が一部描かれている。その内容が、次回作以降への前振り展開だったので、今後の展開にも期待している。
総評
誰でも楽しめる見易い超王道アンチヒーローアクションムービー。
ロック様のど迫力アクションを観れただけで、十分に楽しめした。