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レジェンド・オブ・フォックス 妖狐伝説評論(1)
戦争モノや時代劇から現代劇まで、そしてジブリ作品など日本の音楽シーンには欠かせない存在の日本を代表する音楽家、久石譲が本作『レジェンド・オブ・フォックス 妖狐伝説』のフィルムスコアを担当している。
When a fox is fifty years old, it can transform itself into a woman;
when a hundred years old, it becomes a beautiful female, or a spirit
medium, or an adult male who has sexual intercourse with women.
古代中国の博学な文人?に言わせるとキツネが1000才になると天に通じる天狐というものになるらしい。その伝説から1000年を待たずして神の存在の九尾の狐として永遠の命を授かる狐仙になることを目指す落ちこぼれの狐の化身バイ・シサンと行方不明の兄を探しながら仕官になる試験に臨む心優しいワン・ジジン...
西洋の文化に異議を唱えるようにアジア圏の国では、民間の都市伝説で見られる人に危害を加え、人の魂を体から抜き取る行為もする邪悪とされる生き物を主人公に独自の神話上の民間伝承としての中国や日本で見られる倫理、道徳、日常生活における、哲学イデオロギーが本作へフォーカスされている。
昔、テレビの黎明期には、人の生き玉の尻小玉を抜くシーンのある水木しげる原作の『河童の三平 妖怪大作戦』のようにジョーダン・ピールが例える "ホラー" と "コメディ" をブレンドしたとぼけたドラマもこの映画との共時性を感じる。
プロデューサーのラマン・ホイが過去に製作した『モンスター・ハント』のように自己発見、他者へのサクリファイス、人生とはないかという究極の問いを再発見する二人のロードムービーで、いい加減なバイと真面目なジジンとの掛け合い漫才のようなバディ・コスプレ・ファンタジー・フィルムに仕上げられている。
この映画の映像技術は確かに『モンスター・ハント』よりもシームレスなCGIで特にアクションシーン・シーケンスで反映され、しかも細かな部分まで美術的に素晴らしい緑あふれる風景や中国の古風な建物にも言えるけれども個人的には数々の魔物、特に巨大カエルのキャラは『モンスター・ハント』でも出てきた妖精のキャラと共通する描き方は到底受け入れることができない悪趣味といえるものも作中、登場する。 はっきり言うとキモイ⁉
中国映画に多々見られるように、見やすいスレッドと話の流れと思っていると本作でもサブプロットを詰め込み過ぎたせいなのか、話の流れがつかみ取れないし、つまらなくもなっている。
それでもこの映画の功罪として、流行で人気のインターネット小説に基づいて、屈託のないキツネの化身として、中国本土生まれの俳優リー・シエンの活発なパフォーマンスによって映画の面白みや質は支えられていた。 ただし、なんだかんだと物騒な本土と台湾の関係の中、1億8600万人民元のボックスオフィスのバランスをぶっ放した実質的立役者は、ボーイズグループ "NinePercent" のメンバーであり、台湾出身のチェン・リーノンの本土の彼の若い女性ファンということができ、そのことが中国の大陸ならではの政治と民間レベルの矛盾をシニカルに表している。