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映画 深夜食堂評論(20)
ドラマはいつも豚汁を作るシーンから始まるが僕は豚汁が大好きで人生の最後の食事はこの店の豚汁が食べたいと見るたび思うようになった。
1話.ナポリタン
見ていて気づかなかった。主役となっていた水商売の女が高岡早紀だったんですね、エンドロールではじめて気づいた。高岡早紀は年齢上がってから痩せてきれいになったね。この話はあまりどうという話ではなかったかな。ヤクザの人がたこさんウィンナーを食べてたのが笑えたし美味しそうだった。
2話.とろろごはん
多部未華子が主人公でした。なんか聞いたことあるような訛りだなと思ったら、私と同じ新潟の上越地方、親不知の出身という設定。なじみがあるわけですわ。
無銭飲食して謝りに来た多部未華子を、手を怪我していた小林薫が雇って家にすまわせてあげる話。なんて優しいんだろう。多部未華子の作った卵焼きを見て私も卵焼きが食べたくなり作って食べました。出てくる料理とエピソードなどがうまく絡みあい、なんとも温かい人間ドラマが生まれている。食は生きる事につながるから、大事だし、食をテーマにしたドラマが温かくなるのは必然なのだなあ。
多部未華子が余貴美子の店に雇われるんじゃないかとは想像はついたが、ハッピーエンドで良かった。オダギリジョーも警官として面白いキャラクターとして登場する。他にもたくさんの脇役がすべて、みんな必要不可欠で、人情味溢れ、飾らず、人間臭い、哀愁が漂う。人生のすいもあまいも知り尽くしたもの同士が集まり語り合う。こんな温かい酒場あったらいいのに。
3話.カレーライス
筒井道隆が片思いで、女を追いかけて上京してくる話。震災で妻を無くした時にボランティアとして助けてくれた女に恋してしまう話しだ。女のほうも真面目で彼に真剣に向かいあい、自分の偽善心みたいなものに罪悪感を抱いて思い悩む。
まあ、みんな出てくる人がいい人ばっかりなんである。
あまり大きな波乱の展開など全くなく、終始、淡々とストーリーが進んでいく。
映画になったから、みんな話がつながってましたね。
すごく面白いというわけではないけれど、しみじみとする、自分の人生を振り返り、思い返させてくれる、そんなドラマと人々です。
エピソードが3つあるが(料理のメニューが3つ出てくる)、どれもそれなりに面白いが、それぞれがちょっと短すぎてやや消化不良気味となってしまう。あえて3つにしなくて、1つでもよかったのではないか。
激しいアクションもびっくりするようなエピソードもないので「映画にする価値があったのか」という意見も出てきてしまうけど。
田中裕子のエピソードは消化不良だなぁ…
逆に言うと映画にする意味はあまりなかったように思う。
それでもテレビドラマ同様に観ると十分満足できた。
この作品の良さは、登場人物に感情移入できる面とそうでない面の両面があり、ストーリーも控えめというかあっけない余韻が残るところだと思う。
小林薫と常連客の演技には安心感を覚えるし、この映画で特筆すべきは多部未華子の魅力。
彼女はどの作品でも配役を自然に演じていて、滑舌の良さも個性的なルックスも好印象がある。
しかしながらコロナ禍の状況では「めしや」は絶対廃業だね。残念無念。