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キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語評論(8)
一見の価値ありです
本当に上手いけどビヨンセが歌うとどうしても現代の歌に聞こえてしまう。
今の時代のR&Bのルーツが少し勉強出来ます。
ビヨンセの歌声目当てで観ましたが、あんまり歌ってくれなかったのが少し残念。
(ドリームガールズっぽいのを期待してました)
最後がちょっと雑な締め方だったけど実話に基づいた映画らしいので、なんだかんだで満足です。
主要登場人物が多いから存分にそれぞれを描くのには物足りなさもあるが飽きることなく楽しめる。
中盤からビヨンセの見せ場になる歌唱力に飽々とストーンズのメンバーのクオリティの低さにもビックリしてしまう!?
リトル・ウォルターの破滅的な人生にM・ウォーターズとH・ウルフの険悪な関係性に滑稽なC・ベリーと魅力溢れる人物を間違いない役者陣が演じ物語もテンポ良くシカゴ・ブルースに触れるには良い教材的な作品になっていると思う。
若かりし頃にバスキアを演じた俳優が渋みを増しM・ウォーターズを演じているのも面白い。
随分古い話なので実話と言われてもピンとこない、ロックンロールの開祖、独特の演奏スタイルで鳴らしたギターの名手チャック・ベリーくらいは知っていたが個人的にはモダンジャズの方が好みだったのでレーベルは初耳、チェス・レコードなのにキャデラック・レコードと言われたのはレコードを車(キャデラック)で売りさばいていたのでついた俗称のようだ。
映画では初期のころからスタジオワークに参加したウィリー・ディクスン(ベーシストで作曲家)の回想のように展開するから彼の記憶、視点でのレーベルの歩み、栄枯盛衰なのだろうか。一応映画だから脚色があるのは当然だと思う、チェス・レコードはポーランドからのユダヤ系移民だったチェス兄弟(レナードとフィル)が築いたが映画では兄のフィルは登場しないし、リトルウォルターがいかに短気でも人殺しはしていないだろう、ビョンセ扮するエタ・ジェームスも娼婦としてレナードと出会い歌手の道に入ったように描かれるが既にモダン・レコードのガールズグループ・ピーチズのメンバーとして活躍していた。所属アーティストは黒人ばかりだが音楽的嗜好は別としてレナードがユダヤ系なので白人の人種的偏見への嫌悪、反動があったのかもしれない。ただ、メディアに賄賂作戦や印税の代わりに新車のキャデラックで誤魔化しているようでもあり、なかなかの商売人でもあったのだろう。
まあ当時のミュージシャンの私生活はジャズでも同じ、ジャンルを問わず酒や薬物で身を持ち崩すのだから観ていて気が滅入る・・。Youtubeでエタ・ジェームス本人の歌唱を聴いてみたが、彼女のパワフルな発声は少女時代の教会合唱隊時代にスパルタ的なボイストレーニングを受けたせいだとされているがビョンセが驚くほど特徴を捉えていたので驚いた、総じて映画の見どころは多くのスタジオ録音シーンなのでしょう。