グラン・プリ
プロット
アメリカ
02月01日 1967 台灣上映
グラン・ブルー オリジナル・バージョン
プロット
フランス
08月08日 1998 台灣上映
トリノ、24時からの恋人たち
プロット
イタリア
09月02日 2006 台灣上映
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グラン・トリノ評論(20)
自ら主演で、何とも味と深みのある主人公を演じきっている。毎度思うが、これだけ主演で出ずっぱりで、監督・演出もするなんてどうやっているんだろう。超人すぎる。
歳を重ねていくこと、人種差別の蔓延る世界など、現代における多くのテーマが詰め込まれているが、そのなかで愛車である「グラン・トリノ」をタイトルに持ってきたのは興味深い。(原題も同じ)
信念を守り続け、何かひとつを大切にしていくことの人生における揺るがない価値観を描いているような気がする。
すごく盛り上がる展開はあまりないが、坦々と悠々と語りかけてくるような映画。
でも、彼を理解している人はいるし、理解してくれる人、理解しようとしてくれる人に対して、彼はとても正直で誠実。
実は人種差別とはいちばん遠いところにいるタイプなんだと思う。
最初のうちはほとんどタオの顔を写さず(うつむいてばっかりいるし)、だんだんとしっかりと表情をとらえるようにしていく撮り方もとても効果的。
さすがクリント・イーストウッド、いい映画を作るなぁ~。
クリント・イーストウッドの渋い演技はもちろん、モン族の姉弟もすごくいい演技をしていましたね。
当時のフォードが世に出した、スポーツタイプの名車である。
但し、その後排ガス規制や燃費の問題もあり、名車の名を残しつつ、生産終了となっていった・・。-
・ウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)は愛する妻を亡くし、その葬儀での孫達の言動(ヘソピアス、品の無い言葉遣い)及びそのような孫を育てた自分の息子達に苛立ちを隠せない。
神父に対しても、”新米神父のいう事など・・”という態度を取る。所謂、昔気質の頑固親父だ。
彼は、フォードの組立工として家族を育てた気概もあるため、日本車(劇中では、はっきりと"TOYOTA車"が映し出される。)及び彼にとっては米食い野郎のイエローは気に入らない存在だ。
だが、一人暮らしとなった彼の”中流以下が住む地域”に経つ家の隣に住むのは、”モン族”の大家族。地域には、白人は殆ど住んでおらず、イエローか黒人など有色人種が多く、チンピラもうろつく。
そのような状況の中、彼が大切にしているグラントリノを”モン族”のチンピラたちに脅された臨家のタオが盗もうとしたことから物語は動き始める。
■今作の魅力
1.有色人種を一律に見ていたウォルトが臨家の”モン族”と関りを持つ過程で、過去の彼のトラウマから来る偏見を払拭していく姿。
ー”俺の家の芝生に入るな!”という言葉から、臨家の”モン族”のタオの姉で、聡明で気が強く、且つ優しきスーと知り合い、”モン族”の礼節を重んじる姿に”どうにもならない身内より、”モン族”の連中のほうが・・”と彼の考えは徐々に変わっていく・・。-
2.過去の彼のトラウマ
朝鮮戦争時に、兵役に駆り出され多くの朝鮮人を殺してしまった事を深く悔いるウォルトが、逆にどんどん偏屈になっていったことを苦虫を噛みつぶしたような表情で、クリント・イーストウッドが絶妙に演じている姿。
3.心を許す中になったスーに頼まれ、タオを男として鍛えなおす姿。そして、そのスーが、”モン族”の不良連中に暴行された姿を見た"病により、自らの死期を悟った"ウォルトが取った行動。
<自らのトラウマを克服し、タオを命を懸けて”一人前の男として”育て上げたウォルト。そして、彼が遺言で”72年型 グラントリノ ファストバック コブラエンジン搭載車”を譲ったのは・・。
人種差別というリスキーなテーマを逆説的に取り上げ、一人の”過去に過ちを犯し、自分が許せない、人生に幸せがなく安らぎもなかった男が、いつの間にか、大切な存在になった人々を守るための見事な人生の決着の付け方を描いた作品。>
<2009年5月 劇場にて鑑賞>
<その後、様々な媒体で複数回鑑賞>
出会いが人を変えるということ、友情の大切さ、本当に大切な人を守るということはどういうことかを伝えつつも、人種差別をどのように乗り越えるかを、『差別はいけない』と口で言うよりも、どのように乗り越えるかを示してもいる。