サンフランシスコにそびえ立つ地上138階の超高層ビルの落成式の日、発電機の故障から発火、たちまちビルは炎の地獄と化した。製作はアーウィン・アレン、共同製作はシドニー・マーシャル、監督はジョン・ギラーミン、アクション・シークエンス監督はアーウィン・アレン、脚本はスターリング・シリファント、原作はリチャード・マーティン・スターンの「ザ・タワー」、トーマス・N・スコーティアとフランク・M・ロビンソン共著の「ザ・グラス・インフェルノ」、撮影はフレッド・コーネカンプ、アクション・シークエンス監督はジョセフ・バイロック、音楽はジョン・ウィリアムス(2)、編集はハロルド・クレスとカール・クレスが各々担当。出演はポール・ニューマン、スティーヴ・マックィーン、ウィリアム・ホールデン、フェイ・ダナウェイ、フレッド・アステア、スーザン・ブレークリー、リチャード・チェンバレン、ジェニファー・ジョーンズ、O・J・シンプソン、ロバート・ヴォーン、ロバート・ワグナー、スーザン・フランネリー、オーマン・バートンなど。
タワーリング・インフェルノ評論(20)
確かに重い。
残酷だしリアルだし容赦なく襲いかかるし。
しかしそれは戦争映画だけでは無い。
個人的には戦争映画よりもパニック映画の方が重い。
容赦ない現実と残酷な運命。権力や社会的地位の高い連中に胸糞だし。
しかしそれほど濃厚だという事だ。
タワーリング・インフェルノはパニック映画の真骨頂とも言える傑作だ!
恐らく今見たら、そこまで恐怖を感じないのだろうが、子供の頃のトラウマはなかなか消えないものだ。
①ビデオやDVDではその後何回か観ているけれども、大スクリーンでは45年ぶり2回目。映画に本格的に恋することになったキッカケの映画。同時にフェイ・ダナウェイにも恋するキッカケになった映画(ずいぶんませたガキだったわけ)。②ただだだ圧倒されていた中2のガキと、還暦目前のオヤジとではやはり見るところも変わってくるわけだし、この50年で「グラスタワー」より高いビルも立ってしまったわけだけれども、『当時はこれが最先端立ったんだよなぁ』という感慨を持つ反面、今観てもそれほど古くさく感じない。逆に今のSFX映画を見慣れた目には手作り感が懐かしい。③まずはrealityを離れて娯楽映画として見てみると、脚本が良くできている。オールスター映画に有りがちのな人間模様をだらだらと描かず、結構早い時点で火事が起こり消防車が駆け付けている(初見の時は導入部はもう少し長かったように感じた)。だから話がだれない。演出も中弛みせずに全編ほぼ同じテンションで進んでいく。次から次と起こる新たな事故に丁寧に果敢に対応していくスティーブ・マックイーン演じる隊長率いる消防士達の活躍も(ポール・ニューマン演じる設計士もそれなりに頑張るけど)変わらず感動的に描かれていく。かといって人間模様の方もお座なりにはされず、特撮場面には負けない程度の濃さでに点描されている。45年前に比べて字幕を見なくても台詞が分かるようにようになったせいかも知れないけど。(初公開時はこれまた更に以前のハリウッドオールスター大作に比べ人間描写が弱いとの批評が少なからずあった。時代は廻るんだな。)ただし、編集部分でカットされたのかブレッド・アステア扮する詐欺師とジェニファー・ジョーンズ扮する裕福な未亡人が恋に落ちるのが唐突すぎて背景が描写不足。また、市長夫婦も中盤から突然存在が前に出てきて娘の話をし出す。これも映画の流れをだらけさせるか何かの理由で編集でカットされたのかも知れないが、パーティーに出る前の娘とのシーンをチョコッと加えたら、唐突な市長夫婦エピソードの介入をもう少し自然に感じられたのかも知れない。④一方、今回、スーザン・ブレークリー扮するパメラが結構ファザコン娘であることが理解でき、これまでは薄っぺらな一人悪役と思っていたリチャード・チェンバレン扮するロジャーの屈折した内面が少しわかった(でもクソ野郎であることには変わりはないけれど)。⑤
コロナで新作は見れないけれど昔のヒット作をまた大画面でみれることだけは良いかも。