サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコックの初期作品で、ヒッチには珍しく、犯人探しに主眼を置いた古典的な謎解きスリラー。これまでビデオ発売のみだったが、製作から64年を経て初の劇場公開となった。クレメンス・ディーンとヘレン・シンプソンが共同執筆した推理戯曲『サー・ジョン登場』の映画化で、脚本は監督夫人のアルマ・レヴィル。製作はヒッチコックの「ゆすり」も手掛けたジョン・マックスウェル、撮影はJ・J・コックス、美術はJ・F・ミードが担当。主演は、のちにヒッチコックの渡米後第2作「海外特派員」にも出演したハーバート・マーシャル。共演はノラ・ベアリング、フィリス・コンスタム、エドワード・チャップマンほか。
殺人!評論(1)
次のシーンは法廷となり、12人の怒れる男のような1人対11人の陪審員の評決を巡るやり取りとなり、ようやくここで主人公の登場となる
そこから中盤はかなりもたつきヒッチコックにしては退屈してしまう
後半になり劇中劇やサーカスのくだりで盛り返すが、カタルシスはなく不発で終わってしまう
ただ本作にはカメラワークにその後のヒッチコックらしさが現れておりそこは評価したい
クレーンを使った俯瞰シーンや、絞首刑台そのものはみせず、日が傾くに従って壁に影だけが立ち上がってくるシーンは見事
それが結末の伏線にもなっているのだ
しかし全体からみればやはり失望してしまう
ヒッチコック監督、ご自分でも不本意だったのでしょうと