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ホタル評論(14)
劇中のところどころに現れるやや説明的な科白が気になった。また過去の特攻隊隊員の場面は、隊員同士の会話というよりも舞台劇のように喋る彼らの科白の強調された言い回しや演技も気になった。だが作品を通して、戦争を背景にした三人の男女関係の心の底の秘めた思いが静かに伝わってきた。過去を語ろうとせずに妻を支えて今を生きる健さんの演技がやはりいい。
しかし戦争の足に長い歳を重ねる健さんと妻とのこと・朝鮮人特攻隊隊員のこと・妻と彼との関係が、作品の主題としてばらばらに感じられた。日本の兵士として死んだ朝鮮人のことを描きたいならば違う視点の脚本にしたほうが良い。綺麗な悲恋にしようとしているが、その割りには二人の関係がどう深まっていったかについてはしっかりと描かれていないし、日本人兵士として死にいく彼の朝鮮人としての苦悩も深く描写されていない。
最近はそんな父親も戦争の話は出なくなった。記憶が薄れたのだろう。
この映画を観る前日、テレビで倉本聰が「今の日本は満たされている。戦争中の世の中に比べたらオカシイ。再度あの頃に戻るべきだ。」と言った内容。それに対し父親は「そんなことない」と否定した。
この映画はそんな自分に対しなにか不思議な存在です。
映画を観てる時間、ふと子供の頃に戻ったきがする。
父親の説教が蘇る感じ。
一体テーマは何なのか?
特攻隊員の生き残りの男と上官の恋人だった女性が夫婦となり、共に支え合って長い人生を歩み、振り返って平和の大事さを次の世代にも訴えることを中心に据えた物語なのか
戦前の大日本帝国の軍国主義を批判したいのか
朝鮮人特攻隊員の物語を描きたいのか
企画当初は最初のものがテーマだったはずだ
それがふたつ目のテーマを入れたくなり、そのためには三つ目のテーマまで混ぜ込んでしまった
そのために焦点の定まらない散漫な映画になってしまっている
焦点が合っているのは木村大作の美しいカメラだけだ
監督の思想信条を映画にするのは当然のことだ
ならばそれを堂々とテーマの中心に据えて撮るべきだ
こんな姑息なテーマのすり替えは裏切り行為だ
まして実在の食堂の女性をモデルにしながら、彼女がいいそうもない政治的言説なのに、監督の思想からでる台詞を叫ばせるのは卑怯だ
田中裕子も何故彼女が配役されているのか理解出来ない
彼女である必然はまるでない
この役ならもっと相応しい女優がいたと思う
むしろこの役に彼女は相応しく無い
ことに藤枝の孫役の新人女優はひどい
次の世代に平和の大事さが伝わっていくことを示す重要な役の筈なのに、演技力も存在感もなく
全てぶち壊しにしている
これが東映の50周年記念作品なのだ
情けないかぎりだ
東宝創立50周年は市川崑監督の細雪だ
この違いを思うと本当に酷い、醜い
高倉健の日本アカデミー主演男優賞ノミネートの辞退は後進に道を譲りたいというが、含むところがあったのではないのか?
木村大作の素晴らしい撮影に星一つオマケする
と言うのが気になり
すぐに鹿児島の特攻の出発の地の知覧だとわかるが
そうなると 誰も彼も 全然でたらめで
もう全然物語に身が入らない。
九州弁と言ったって全部一緒じゃないのに
ってだけでなく
九州弁ですらないイントネーションに耐えられなくなり
途中 リタイヤ。
高倉健さんて
もしかして 大根だった?
・生き残ったことを罪と思う男
・死んだ先輩特攻隊員の許嫁を嫁にする男、しかもその先輩は朝鮮民族であった
高倉健と田中裕子が演じる夫婦が微笑ましくもあり、痛々しくもあり。改めて戦争の悲惨さを知ることとなります。
何はともあれ高倉健はカッコイイ。お茶目なシーンもあったりと私のような健さんファンにはたまらない作品です。
特攻隊員の孫を演じる水橋貴己(もう引退しているもよう)という女優のなんとも素人っぽい演技が個人的に気になりました、不思議な魅力(笑)