先のレビューで、ハッピーエンドとなったことが納得できないと書いていらっしゃる方がおいでますが、ご安心下さい。大林宣彦さんは妻となったのが百合子かどうかは作者としては答えを出していないとおっしゃておられます。それは、ヒロキのナレーションで「そんな光景を皆さんは何とお考えになるだろうか?」と一人一人に委ねる事で締めくくっておられるのだど思います。ところが、ラストがあのオルゴールであった事から大半の方が妻となったのが百合子であると思ってしまった。いわゆる映画がひとり歩きをしてしまったようです。監督としては結末を明確にしていないと言う事です。では、監督としてではなく大林宣彦さん御自身としてのあのラストシーンの思いとは、二人の恋は成就しておらず、妻や娘が百合子に似て見えるそんな日にはヒロキの心には「別れの曲」が聴こえて来るのです。と言う事のようです。
この事は監督の書物、「a move book 尾道」に書かれております。
さびしんぼう評論(20)
以前にパロディ漫画を描こうとしたら何も思いつかなかったのだが、改めて見ると確かに分かりやすく説明できない話だった。20代の時以来で何度目かの鑑賞。
尾見としのりがこれまでの尾道三部作では脇だったが、いよいよど真ん中に現れ、大林監督の理想の少年時代を体現する。二人の友達が素晴らしくて、ファンタジーのレベル。
さびしんぼうの富田靖子と藤田弓子があんまり重ならない。現在アラフィフの富田靖子と、この役で42才の藤田弓子を見比べて、富田靖子は藤田弓子を通り過ぎていない。橘百合子もいいけどさびしんぼうはとことん優しく寄り添ってくれて、そんな彼女に冷たくする尾見としのりは最低だ。また、ストーキング対象である橘さんに自分のストーカーぶりをべらべらしゃべりすぎで、当時のことを現在で言うのもなんだけど、ダメだぞとハラハラする。
入江若菜のPTA会長が作りこまれていてすっごい面白い。友達のメガネは所さんのギャグを真似する。藤田弓子が背中にゴキブリが入って発狂する場面も圧巻。
少女時代の母親が現れてまるで恋人のようにいちゃいちゃするというマザコン全肯定映画だった。いつキスしてもおかしくない状況だったのでハラハラした。
尾道の商店街が活気があって楽しそう。
この事は監督の書物、「a move book 尾道」に書かれております。
また、監督は百合子の家を娼家と設定しており、この事から身を引いたとなっています。それで「恥ずかしいから」とヒロキに送ってもらうのを拒んだようです。そしてこの明らかにされていない百合子の反対側の顔が後の
「はるか、ノスタルジィ」で石田ひかりさんが演ずる三好遥子の物語となって行きます。
物語としての繋がりはありませんが、「さびしんぼう」の完結編とされたようです。
こちらは、1997年度版「さびしんぼう」のレーザーディスクのライナーノーツに書かれております。
小林聡美さんの「廃市」のDVDの映像特典 監督インタビューでは原作者の福永武彦さんの「草の花」について触れ、ショパンのピアノコンチェルト第1番が登場すると話しておられ、「さびしんぼう」には「別れの曲」を、そして「はるか、ノスタルジィ」の事を
「さびしんぼう」のその後の物語と言われる「はるか、ノスタルジィ」のテーマがまさに「草の花」と同じショパンのピアノコンチェルト第1番であると紹介されています。
この中で監督にとっては福永武彦さんの小説やショパンの伝記映画「別れの曲」の影響が多大であるように話されています。「別れの曲」をモチーフとされているのならば、「さびしんぼう」においてヒロキと百合子の恋が成就することはなかったでしょう。もし、「廃市」のDVDをお持ちならばチェックしてみて下さい。
物語は後半に畳みかけてくるんやね💦
1時間ぐらいで修めてくれたらなぁー、、
この歳になって
『大林ワールド』がしみてくる。。
俺の「さびしんぼう」は、、
男の方がロマンチックやと思います。
(出張で尾道いった時
山の上からの景色も渡し船も乗ってみた。
また尾道行きたいなぁー)
尾美としのりは大林宣彦監督の映画にしょっちゅう出演しているわ。
彼の父母が藤田弓子と小林稔侍、脇役陣が凄い。
佐藤允、峰岸徹、樹木希林、小林聡美・・・・・
ヒロキの淡い恋が実って幸せ!
とても素敵な映画。とても切ない映画。全ての十代の少年少女に観てもらいたいと思う映画です。