土屋太鳳が主演を務め、幸せを追い求める真面目な女性が社会を震撼させる凶悪事件を起こす姿を描いたサスペンス。市役所に勤める小春は平凡な毎日を送っていたが、ある夜、不幸に見舞われ全てを失ってしまう。人生を諦めかけた彼女の前に、8歳の娘を男手ひとつで育てる開業医・大悟が現れる。優しく裕福で王子様のような大悟に惹かれた小春は、彼のプロポーズを受け入れ、不幸のどん底から一気に幸せの絶頂へと駆け上がるが……。「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2016」でグランプリを獲得した企画をもとに、「かしこい狗は、吠えずに笑う」の渡部亮平監督がオリジナル脚本で映画化した。
哀愁しんでれら評論(19)
面白かった!と言うのがはばかられるレベルの衝撃的なラストです。園子温作品でも体験したことありません。
まず本作のチャレンジ精神に拍手を贈ります。作り手がコンプラを気にし過ぎたり保身に走ったら作品はどんどんつまらなくなると思うからです。
また倫理的な問題を指摘する人もいるかもしれませんがどんな作品を鑑賞しても理性的に楽しめることが最も健全だと思います。
そして鑑賞後に自分の先入観や偏見、価値観が刺激され友人や知人と作品について話したくなるのが自分にとって観た価値があったと言える作品です。
この世の全てを敵に回しても大切な人を守る。
歌詞でよく聴くフレーズです。本作でも父親役の田中圭が口にします。それを実践することがどれけ異常なことか本作では観せてくれます。
愛や正義は立ち位置によって姿を変えると言われます。モンスターペアレントも本人と第三者では捉え方に大きな隔たりがあります。
コロナ禍の日本でも為政者と医療従事者、自治体と飲食店など立場が変われば全く意見が異なると思いますが、自分の世界だけが全てではないと気づかせてくれた大切な作品です。
西洋でも東洋でもお伽話というものは決して楽しい美しい話だけではない。むしろ救いようのない残酷な話もある。
シンデレラのストーリーのその先を描きたかったという本作。
前半部分に描かれる小春の不幸のオンパレード。全て一日のうちに起きることで展開にスピード感がある。
おまけに「王子様」大悟との出会いまでこの一連の流れに組み込まれる。
不幸の続きかのように思われたが、実は運命の相手とのシンデレラストーリーの序章だった。
プロポーズから入籍までの怒涛の展開、話題のダンスシーンもお伽話感があって面白い。
結婚生活が始まり、不穏な影が少しずつ見え始める。
大悟の部屋に最初は鍵がかかっているのも、すぐには襲ってこないホラー映画の敵のようでいい。
少しだけ残念だったのが、序盤のインスリンの話で伏線が見えたこと。
そして学校の校医として予防接種の話をした段階で「事件」が読めたこと。
だがそれも、くるぞくるぞ、きたー!的なワクワク感として楽しめた。
大悟に罵られ追い出され、だけど最後には迎えに来てくれた。この時点で今作は二回目のめでたしめでたしを迎える。
その後小春と大悟はとんでもない事件を起こすが、その場面はどこか現実から乖離している。
あのまま大悟が校医の立場にいたとは考え難いし、そのまま予防接種が行われるとも考え難い。
ここから先は私の妄想だが、あれは小春の中の、お伽話の一つの結末なのかもしれない。
ヒカリのために、みんな殺しました。めでたしめでたし。
でもヒカリのことを好きなお友達もいました。めでたしめでたし。
家族三人、仲良く暮らしました。めでたしめでたし。
現実かもしれないし、空想かもしれない。
どちらにしろ小春は、めでたしめでたしのその先は考えなかったのかもしれない。
小春の身に起きた不幸な出来事。
その締めくくりに起こった、大悟との出会い。
それは不幸の終わり、幸せの始まりではなくて、やはり不幸の続きだったのかもしれない。
だとしても、出会わなければ良かったと小春は思うだろうか。
大悟を愛さず、愛されず、ヒカリの母にもならなかった人生の方が良かったと思うだろうか。
それはめでたしめでたしのその先にある、小春の人生次第かもしれない。
全ての不幸な出来事すら自分の人生を作るもの、そしてこの人たちに出会えたならと赦せることが、「愛」なのではないかと思う。
この物語はお伽話だ。
お伽話とは本来、残酷で容赦ない、教訓を含んだ物語である。
追記。
パンフレットを読んでから、2回目観賞。
人物の見え方がかなり変わる。
解釈に正解も不正解もないとは思うが、自分の見たもの感じたものを疑うことも大事だな、と。
気になる方はぜひパンフレットを。
作品の美術に関する拘りが満載で、読み物として非常に興味深い。
映画脚本が最悪なのか?
作品企画から映画愛好家を騙す企画だったのか?
この映画は見終わって作品を振り返って、騙されてチケットを買いロードショー初日に観てしまった己の情けなさ愚かさを痛感している。
物語にひねりもなにもなく、これで終わり?
お金取って観せる価値あるの?
兎に角、疑問符だらけの消化不良しかない、史上最悪と思う作品。
観たあとに、これほど怒りを覚えた映画はありません。
これから観ようとして、参考にしようとしている人は、絶対に観ないほうが良い。
採点は、ほんとうはマイナス点
イヤイヤ。さすがにやり過ぎではないかと。
「怒涛の不幸」パートはテンポ良くて適度にPOPで面白く。「反転のシンデレラストーリー」は、その後に向かっての伏線だと思いながら眺めてるのでイーブン気分。からの「ダークに向かって真っ逆さま」パートが、正直言って、アレです。
土屋太鳳がいきなり正気を失ってるしw
唐突感アリアリでした。無理矢理感デカ過ぎです。ちょっと、そこ、行き過ぎw
夫婦が完全に正気を失って行く様を、一つ二つエピソードを追加して、時間を掛けて描写してたら、違う印象になってたのではないでしょうか。
などと思いました。
しかしですよ。山田杏奈には10年後、どんな役回りが回って来てるか心配になるくらい、女子高生役がハマってましたw
小学2年生の娘を持つ開業医と結婚した女性が、その家庭の「母親」になる話。
市役所で児童福祉の仕事(児相?)をする26歳の女性が、怒涛の不幸に見舞われた日にシングルファザーと出合い巻き起こって行く。
不幸の連続をみせる軽妙な展開から、娘の誕生日のプレゼントの後のミュージカルかアニメの様な凝った演出にと、キャッチーな序盤戦。
ニャンニャンて久々に聞いたわw
そして教室で泣く娘の様子からそれは始まって行き、怖いというより不気味だったり、鬱屈としていたり、連ドラとかでありそうな沼にハマっていく展開は序盤とのギャップもあって、良い意味でとても気分が悪くなる。
家に戻ってからの件は主人公の計算か?そして帰路の車中以降は夫婦でそれまでの経緯を全て共有したのか?と思わせての…えっ!?まさかのそんなオチ!!?こ、これってコメディだったの!!!?
黒さは好きだし、こんな終わり方も嫌いじゃないけれど、この空気感でやられたら、どんな気分で受け止めれば良いのだろうかというモヤモヤばかりが残った。
それにしても最近山田杏奈大車輪ですね。