幸せへのまわり道劇情
トム・ハンクスが、アメリカで1968年から2001年にわたって放送された長寿子ども向け番組の司会者フレッド・ロジャースに扮し、アカデミー助演男優賞にノミネートされたヒューマンドラマ。雑誌「エスクァイア」に掲載された新聞記者ロイド・ボーゲルによる記事の映画化で、ボーゲル役を「ペンタゴン・ペーパーズ
最高機密文書」でもハンクスと共演したマシュー・リスが演じた。雑誌記者として華々しいキャリアを築いてきたロイド・ボーゲルは、姉の結婚式に招待され、そこで長らく絶縁していた父ジェリーと再会する。家庭を顧みず自分たち姉弟を捨てた父を、ロイドはいまだ許せずにいた。数日後、仕事で子ども向け番組の司会者として人気のフレッド・ロジャースを取材することになったロイド。フレッドは、会って間もないロイドが抱えている家族の問題や心のわだかまりを見抜き、ロイドもそんなフレッドの不思議な人柄にひかれていく。やがて2人は公私ともに交流を深めていくが……。
監督は「ある女流作家の罪と罰」「ミニー・ゲッツの秘密」のマリエル・ヘラー。
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幸せへのまわり道評論(3)
周り見たら初老の方々ばかり。
最初は、年齢層高めだな、合うかなと心配だった。
終わった頃には、もう感動、めちゃいい✨
今の私にすごく合っていた。
私も主人公と同じように父親との関係で悩んでいて、感謝の念が深まらなかった。
なので、まるでトムハンクスが私に語りかけてアドバイスしてくれているような気がした。
・・・・・・・・・・
１分間沈黙するシーンがある。
普通だったら違和感を感じる。
でも、そんな沈黙を、空間を埋め尽くしてしまうかのトムハンクスの存在感。
今までトムの映画は何本か観たことあるけど、これはなんだか今までに感じたことないオーラを放ったトムが見れます。神々しいです。
You hired me as an investigative journalist. I don't do puff piece.
Didn't I hire you to do whatever I tell you to do? And that's doing a
profile on one of our nation's heroes. - Who?
Mister Rogers. - As in the hokey kid's show guy?
As in the beloved children's television host, yes.... Just start to change
your image.
アイラニカルというよりは過去の父子関係から影響されてか、シニカルな表現を得意とするライターとして注目を集めていた主人公のロイ。彼の考えも分からないではないと始めは思えていた。父親のことも信用できずに他人がすべて自己中心的だと判断する皮肉屋に対して、会社からインタビューを指示された相手が、人間 ” Saint ” なんて呼ばれてるし、その上、上司からは、人に対して考えを直せとかイメージを変えろとかまで言われても今更と思えるのはだれしも持ち合わせているものじゃないかと... だからロイの考えも分からないではないと思えたが...
Do you know what the most important thing in the world is to me right
now? Talking on the telephone to Lloyd Vogel.
思いがけず、秘書からではなくフレッド・ロジャース直々にインタビューの承諾の電話が、ロイの自宅にかかってくる。
- How does it feel to be married to a living saint?
You know, I'm not fond of that term. If you think of him as a saint,
then his way of being is unattainable. You know, he works at it all the
time. It's a practice. He's not a perfect person. He has a temper. He
chooses how he responds to that anger.
ロイがスタジオを訪れた時、番組の撮影でロジャースは自分の背の丈より高いテントを組み立てるのに失敗した場面をロジャーズは何も言わず、そのままオンエアーのOKを出していた。彼がロジャースに失敗するのなら何故、前もってスタッフに準備をさせないのかと尋ねると、ロジャーズは、”大の大人が上手くいくのが当たり前とその大人たちが思っていることでも"上手くいかない"こともあるさ。でもね、子供たちはそんな事でさえも知りたいのさ" と飾らないで答える。またロジャースの妻のジョアンナ自身も彼は普通の人間で怒りも持ち合わせていると臆さず話す。だから彼なりの行き詰った時のストレス解消法を色々毎日していると... 例えば、ロジャースが言うには”ピアノの低いキーを叩くのさ”とストレス解消必勝法も当然のようにロイに伝授する。
You know, death is something many of us are uncomfortable speaking
about. But to die is to be human. And anything human is mentionable.
Anything mentionable is manageable.....ジェリーの耳元でささやきます。
I asked him to pray for me. I figure anyone who is going through what
he is going through must be awfully close to God.
ロジャースと話をしているうちにロイも殴り合いの喧嘩をしていた父親との関係を修復したい気持ちが現れ始めるが、その一方では、まだ父親を許せない気持ちが存在し、お互いの気持ちが交差をして、その心の葛藤が幻想的夢想的なファンタジーな映像をも生み出している。
映像表現もロジャースの番組は90年代当時のテレビの画面サイズと質感で映し出し同じように時代を合わせてややぼけたものに映し出すほど細かな部分まで演出に気を配っている。
トム・ハンクスの演技に対して多くの絶賛する声が寄せられている中、個人的には彼の演技が薄気味悪く、気持ちの悪い印象をオープニングのシーンから何故か感じていた。そんなことをSydney Morning Heraldの女性記者が唯一独自な意見を載せていたことで、その言い知れない違和感の意味が分かることとなった。あまりにも詳しく彼のことを知っているので彼のファンと思われるが... 「トム・ハンクスが強いストレスの下で演技をする時、知られている彼の人受けの良さを保つ為に、強い苛立ちの中でも台詞を無理に発する時、彼は薄ら笑みを浮かべている。」と.. 以前はこの傾向が度々見られたそうで、しかも彼自身が、CBS This Morning（1992）のインタビューで仮にフレッド・ロジャースを演じなければならないとしたなら、膨大な文化的および社会的影響のためにフレッド・ロジャースの一般の方が持っているイメージを壊さないか ”恐ろしい”とまで語っていた。それに加え、amazon.comの視聴者からも「ジェフリーエプスタイン島へ頻繁に訪問をしているトム・ハンクスがフレッド・ロジャースの役を演じているのを見ていると、それは不愉快で単純に気味が悪い。」なんて別次元の、そんなところをつくのかよというような批判めいた投稿が役者のみならず、監督まで対象となっている。いろいろと問題というか、曰く付きのある名称：リトル・セント・ジェームズ島の名前までもが載せられているとは.. 本編とは全く関係がないスキャンダラスなことが先走り、肝心な映画「赦しのちから」でも描かれていた宗教的意味合いのある言葉、”赦し”をテーマにしている感動出来る映画なのに
エルランガーという人が37才の若さで亡くなった事を知らなくても電動車椅子で番組に登場したのは記憶に残っているとするなら... このテレビ番組のMCであるフレッド・ロジャースの人となりが分かる手掛かりとなり、いかにトム・ハンクスが難しい立場の役を演じたのかも理解できるかもしれない。
ただ言えることがある... トム・ハンクスはこの映画では、決して主役というような立場ではなく、むしろ主演のロイドを見守り、助言をするガーディアンエンジェルのような存在になっていて、その脚本から仕事を引き受けたかもしれないが、フレッド・ロジャースというメディアから多く賞賛を得ただけでなく、大統領からも勲章を授与されているアメリカを代表する50人の偉人の中の一人に対して、彼が制作した子供向け番組と幼い時を共に過ごした方々からすれば、2018年のアート・ハウス・フィルムと呼ばれても良いぐらいのドキュメンタリー「Won't You Be My Neighbor? (2018)」でさえ「Mister Rogers' Neighborhood 」の一般の視聴者からすると納得がいかず、トム・ハンクスが語っていたようにいくら脇役の存在でも彼を演じるのは、"恐ろしい"ものなのかもしれない。
日本のアニメーターが愛読者の一人でもあるフランスの児童文学者サンテックス... 彼の代表する児童文学の不朽の名作「星の王子さま(1942年、製作年に注目？)」... 王子様がキツネから言われた言葉... 嫌味：エァングロフォン(Anglophone)では創造が不可能？
“And now here is my secret, a very simple secret: It is only with the
heart that one can see rightly; what is essential is invisible to the eye.”
"心で見なくちゃ，ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは，目に見えないんだよ" を引用してかフレッド・ロジャースは政治家に対して
"We need to help our children become more and more aware that
what is essential in life is invisible to the eye." という言葉を残している。
”It is you that I like.” なんてねチュ💓
あまり予告を見てなかったこともあってか、先入観がなく見ることができとても面白かった。
鑑賞前は実話ベースということもあって、トムハンクス演じるフレッドロジャースについて深く掘り下げていく作品なのかなと思いきや、そうではなくロジャースの存在は一つのサポート役的な存在であった。
話の軸となるとはロイド。彼は感情がコントロールができないが故に自分の父親との関係をはじめとした、人間関係に頭と心を悩ませてる。そんな中ロジャースが彼をサポートするわけだ。
実際にフレッドロジャースの存在も僕は知らず、この作品で描かれている彼の番組も知らない。もちろん知っていたらさらに楽しめるとは思うが、知らなくてもそれなりに脳内修正はできると思う。
感情のコントロール…ロジャースは番組を通して子供達にそのやり方、大切さをメッセージとして送るわけだが決して子供達だけではなく大人へも通ずるメッセージが沢山ある。
この作品でも描かれていたが、大人になったら自然にできるなんて言葉は決して間違いであって子供に真剣に向き合い語り合うからその子供たちが大人になった時に理解し実践できるのであろう。
だからこそロイドのように子供時代に感情のコントロールの術を学ぶ事なく、感情に駆られる事に染みついてしまっでわけだが、それを治すことは決して大人になってからでも遅くはない。
根本は子供心と同じで、感謝の気持ちを大事に、時に人を傷つけてしまったらきちんと謝る事が大切なのである。
この作品内でも「ありがとう」、「ごめんなさい」その言葉を贈られた相手の顔はやはり素直な気持ちを開いた表情になっていた。
感情に駆られる時どうしたら気持ちを落ち着かせることができるのか…ロジャースはピアノや水泳などいろんな方法を作品で言及してたが個人的には最後のレストランで描かれていた1分間黙って相手の良いところを考えるシーンに心打たれた。
これは昔祖父に言われた事を思い出し、個人的な懐古心を擽られた。
物凄く新鮮味のある目新しい作品ではないが、基本に戻るような非常にハートフルな作品でとても充実な時間を過ごす事ができたと思う。