1959年に市川崑により映画化された大岡昇平の同名小説を塚本晋也の監督、脚本、製作、主演により再び映画化。日本軍の敗北が濃厚となった第二次世界大戦末期のフィリピン戦線。結核を患った田村一等兵は部隊を追放され、野戦病院へと送られる。しかし、野戦病院では食糧不足を理由に田村の入院を拒絶。再び舞い戻った部隊からも入隊を拒否されてしまう。空腹と孤独と戦いながら、レイテ島の暑さの中をさまよい続ける田村は、かつての仲間たちと再会する。戦場という異常な空間で極限状態に追い込まれた人間たちが描かれる。共演にリリー・フランキー、俳優デビュー作の「バレット・バレエ」以来の塚本監督作品への参加となるドラマーの中村達也。
野火評論(20)
戦争の悲惨さを全面に出したいなら、グロさだけに頼らないでほしい。(グロいシーンのスローモーションにもあきあきした。)悲惨さを伝えるのならば他にも表現をする方法はあるから。(グロいシーンたくさん=戦争のリアルなの?)
最後に、この映画は視聴者に何を伝えたい?
戦争は良くないよ?
戦争は帰って来ても後遺症があるよ?
戦争は頭がおかしくなるよ?
自分はこの映画から受け取ったことは
戦争はグロいよ!ってことだけ。
あまりの駄作で戦争映画というよりはホラー狂気映画ですね。
水木しげるの「昭和史」「総員玉砕せよ」にあるセリフ『私はなんでこのような、つらいつとめをせにゃならぬ』がずっと頭から離れない。
塚本晋也監督の目線に共感した。
特に序盤は、カメラ、美術、照明、何もかもが学芸会レベルでびっくり。
主人公田村のアップが多過ぎます。
ストーリーは一応原作に沿っていますが、特に血生臭いグロテスクさを際立たせた映像が多いです。共に右腕を失った兵士達が、地面に転がっていた右腕を取り合うシーンが印象に残りました。少なくとも、極限状態に追い込まれた人間の姿を描くことへの努力を感じました。こんな体験をして心が病まない方がおかしい。
1959年版とは比べ物にならないです…⤵️
しかし本作公開を機にオリジナル版を知りましたので、その点では感謝しております。
やはり凄い作品。戦場の様子をこれ以上ないくらいの地獄さながらに描ききった塚本晋也監督の手腕が光る。観ていて本当に恐ろしくなり嫌になる。これぞモノホンの反戦映画。
演出も凄まじい。「鉄男」を彷彿とさせるグロテスクで幻想的な映像、そして音。「野火」という素晴らしい原作に、塚本監督の鉄男イズムが見事な化学反応を起こしている。
とても塚本監督らしい作風。戦争というものを美化せず徹底して地獄に描ききったアンチウォー精神にも脱帽。近年の反戦映画の佳作。