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アドリフト 41日間の漂流評論(17)
これは実話をベースにしており、なかなか丁寧に描いていて、それなりの感動はあるが、映画として面白いか、というと…。ごめんねっていう感じだ。
オスカーにも輝いた「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」(2013年1月公開)のほうが遥かに面白かったな。同じ漂流物でも。
ヨットとかに関心ある人なら、見ておいたほうがいいけど、そうでなければ劇場まで行ってみるほどのものじゃないな。
細かな説明は日付以外には無く出演者もほとんど二人きり この二人のことは知らないがもっと知名度のある二人ならもっと見ごたえがあり盛り上がっただろうし特に大がかりな迫力あるシーンは無く男女話
1983年のタヒチ。
世界を旅している20代前半の米国人女性タミー(シェイリーン・ウッドリー)。
ヨットで世界中を航海している英国人リチャード(サム・クラフリン)と知り合い、恋仲になる。
ある日、リチャードは同じ航海仲間の英国人中年夫婦から、彼らの豪華ヨットを米国サンディエゴまで回航してほしいと依頼される。
ふたりは老いた親の病状が悪化したために、英国に戻らなければならないからだ。
豪華ヨットでの航海のチャンスなど、またとないこと。
さらに、今度は愛するタミーとともに航海することができる・・・
出帆したふたりであったが、数日後、大型ハリケーンに遭遇し、効果ヨットのマストは折れ、漂流することになってしまう・・・
といった物語で、映画はハリケーンに遭遇し、水浸しのキャビンでタミーが意識を取り戻すところから始まります。
リチャードの姿はなく、双眼鏡で、救命ボードにしがみついているリチャードを発見して救出するも、彼は右脚と肋骨を骨折し、動けない状態になっている・・・と、被災の状況がまず描かれます。
なので、観客としては、いきなり物語の渦中に放り出されたような感じで、ものすごいストレスからはじまります。
そして、先に書いたような出帆~被災までの経緯が、被災後のサバイバル描写と交互に描かれます。
このつくりは巧みで、ふたりの出逢いから順番に描いていったとすると、サバイバル描写は同じような描写の繰り返しになるし、出帆までは観ていて飽きるだろうから。
極限状況と幸せな状況を交互に描くことで、それまでの幸せ感も深まるし、サバイバルの緊張感も途切れない。
また、この手のサバイバル映画では、得てして被災する原因が、主人公の無鉄砲や無軌道にあって残念なことが少なくないのだけれど、この映画では、ふたりが豪華ヨットを回航する理由も納得がいくもので、依頼する中年夫婦の口ぶりからもリチャードが相当なセイラーであることも伝わるし、タミーの操舵も様になっていることが描かれているので、残念に思うことはありませんでした。
そして、最終的には、41日目に救出されるわけですが、その前にひとつ、あっと驚くような映画的仕掛けが隠されており、それを隠すのにも、過去の幸せ描写とサバイバル描写を交互に描くのは役立っているように思いました。
ロバート・リチャードソンのカメラによる海原の動と静の対比も見事。
共同で製作も兼務している主演のシェイリーン・ウッドリー、熱演です。
監督はアイスランド出身のバルタザール・コルマウクル。
アドベンチャーの唯一の見せ場であるハリケーンを良い時間帯に持って来るために、構成を工夫してるなぁ、ってのが感心した点。撮影が地味に長いワンカット。結構凄い!タヒチの渓谷で2人が続け様に水に飛び込むシーンとか、どうやって撮ったの?カメラもリチャードと一緒にダイブ?ヨットが低気圧で出来た海面の絶壁を落ちて行き、転覆から一回転し、リチャードが水中に沈んで行くシーンのアクロバット感とか最高。
ストーリーは今一つ盛り上がった感に乏しくて、正直物足りんけど。タミー役のシャイリーン・ウッドリーのアスリートばりの身体を張った演技には拍手👏👏👏
やっぱり、ライフ・オブ・パイ は偉大だった、と思ったりしました。