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明治一代女 プロット 日本 01月22日 1955 台灣上映
のれん一代 女侠 プロット 日本 04月10日 1966 台灣上映
刺青一代 プロット 日本 11月13日 1965 台灣上映
渡世一代 プロット 日本 07月03日 1965 台灣上映
富豪一代 プロット アメリカ 01月01日 1900 台灣上映
好色一代男 プロット 日本 03月21日 1961 台灣上映
西鶴一代女評論(10)
ストーリーは運に見放され堕ちていく女ということで、ありきたり?ただ最後、大名屋敷から自らの意思で逃げ出したわけで、実は自らこの流転を積極的にセレクトしてきた一生で、戦後の自立しようとする女のはたから見ての困難さを象徴しているようにも思えてくる。落ちるとこまで落ち、大逆転で大名の生母として幸福になる?否そうではない、という展開はなかなか面白かった。
勿論、有名な森の中を田中絹代が死のうと走る姿を長回しで追いかける等、動きと流れがある映像は、確かに今見てもカッコイイかぎり。ただ、10代の娘を演じるのは相当に無理感はあって、昔は可憐だったらしいが、田中絹代のこの映画での全体的な演技自体は好きにはなれなかった。とは言え、猫を使っての女主人への復讐劇や最後の方での娼婦としての化け猫演技は、上手い演出と思わされた。
江戸時代、数奇な人生を歩んだ女性の一代記。溝口健二監督、1952年の作品です。
美しさ故に翻弄されてゆくお春。
海外で先に評価が高かったそうですが、わかる気がします。大名家の世継ぎの生母から花魁、果ては辻に立つ娼婦と、江戸時代の風俗をイキイキと見せてくれたうえ、「羅生門(1951)」の三船敏郎も出演です。
激しさと切なさが混然とした和の楽器の音色も心にしみます。演者の居住まい、立ち姿が美しいです。
次々と理不尽に踏みつけられていくお春ですが、ささやかながら一矢報いるユーモラスな場面もあり、人間の底にある強さも感じます。
そして、流転の果ての彼女には圧倒されました、演じる田中絹代には凄みがありました。
華やかな女性を並べての殿様のお妾探しの場面はつい笑いました、失礼よね。
まずストーリーが抜群に面白い。主人公お春の数奇な人生が描かれているのだが、物語のテンポが非常に良く、次から次へと展開される奇想天外で予想不可能なお春の人生に目が離せなくなる。笑えたり驚いたり悲しくなったりと色々なものが詰まっていて、とにかく無駄なシーンがひとつも無く、最初から最後までひたすら面白い。この作品を観て改めて思い確信したのが、溝口監督は悲劇を描く天才だということ。弱い立場にいる者達の気持ちに寄り添い、その気持ちを代弁してくれた様な内容も溝口監督らしくて素晴らしく、後の「赤線地帯」に通づるものも感じた。
そして何と言っても溝口作品らしい途轍もない完成度の高さが凄い!ワンシーンワンカットの名人芸から、日本文化の素晴らしさと美しさが詰まった圧巻の映像美。セットや大道具、小道具といった細部にまでこだわった繊細さ。これぞ日本!これぞ溝口健二監督!という感じがしてこの上なく極上。和の心を深く味わい感じることができる。
主人公お春の半世紀(十代から五十代まで)を演じ切った当時四十代前半の田中絹代の幅広い名演技も、この作品を語る上では欠かすことが出来ない。溝口監督同様に名女優田中絹代もこの作品の前まではスランプに陥っていたらしいが、その鬱憤を晴らすかの様な泥臭い名演技は素晴らしいとしか言い様が無い。
和の伝道師溝口健二監督がその名を世界に轟かせた日本の宝の様な大傑作。「残菊物語」では歌舞伎の魅力に触れることができたが、本作では人形浄瑠璃といった伝統芸能の魅力にも触れることが出来る。
少女だった頃、何か不幸な出来事があったり、悪い人間にだまされて身を持ち崩すのではないかと一抹の不安を抱いたりしたものですが、私にとってこの映画はそうなった場合を擬似体験させてくれる作品でもありました。
お春が体験する人生流転の数々の逸話を歴史絵巻の如く映画に織り込んだ重厚な脚本が素晴らしい。様々な男たちに翻弄され、不運な境遇に打ちのめされても、しぶとくしたたかに生きるお春。時代や社会の制約があるとは言え、そこに男と女の凝縮された形と姿が象徴的に描かれている。その経験をともにした男たちを羅漢堂に並ぶ仏像に比喩して懐かしむ女の凄さ。江戸松平家のお部屋様から夜鷹までを全身全霊で演じる田中絹代の渾身の名演が圧巻です。そして、冷徹に突き放し見詰める溝口監督のリアリズム演出がすべてを纏め上げます。女性崇拝の普遍性に到達した溝口監督の力的傑作。